2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13226089
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
柳 雄介 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (40182365)
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Keywords | 麻疹ウイルス / ウイルスレセプター / SLAM / CD150 |
Research Abstract |
麻疹ウイルスはSLAMをレセプターとして細胞に感染するが、レセプター結合蛋白であるH蛋白のN481YあるいはS546Gの1アミノ酸置換で、霊長類のすべての有核細胞に発現しているCD46もレセプターとして使えるようになる。麻疹ウイルスワクチン株はこれらの少なくとも一方の置換を持ち、CD46を用いて細胞に感染できる。しかし、麻疹患者の咽頭拭い液中には、CD46を使うウイルスは検出されない。その理由を明らかにするために、reverse geneticsにより、SLAMをレセプターとして使う麻疹ウイルスのH蛋白にN481Y変異を導入した組換えウイルスを作成した。このウイルスは確かにCD46をレセプターとして使えるが、CD46を用いて細胞に侵入する効率や、SLAM陰性細胞での増殖はEdmonstonワクチン株に比べると10-100分の1以下であった。したがって、このような変異ウイルスは、CD46しか存在しないin vitro条件下でなければ選択されないと考えられた。 Edmonstonワクチン株は様々な培養細胞で非常に効率よく増殖できる。その理由を明らかにするために、SLAMを使う野生株の各遺伝子を、Edmonston株の対応する遺伝子で置き換えた組換えウイルスを作成した。H蛋白を置き換えたウイルスは、SLAMを発現していないVero細胞への侵入効率がEdmonston株と同程度になったが、他の組換えウイルスは、親ウイルスと同様低い侵入効率しか示さなかった。次に、Vero細胞での増殖を調べると、H蛋白を置き換えたウイルスだけでなく、M蛋白あるいはL蛋白を置き換えたウイルスもVero細胞でよく増えるようになった。以上の結果から、Edmonston株は、M蛋白、L蛋白の変異により、細胞侵入以降の過程でもVero細胞に適応して効率よく増殖できるようになっていることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)