2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13301005
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 茂 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30051907)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部, 助手 (90317272)
靱負 正雄 東京都神経科学総合研究所, 認知行動研究部門, 研究員 (20113491)
岡市 広成 同志社大学, 文学部, 教授 (40066288)
|
Keywords | 海馬 / 空間認知 / キンカチョウ / マウス / ラット / サル |
Research Abstract |
1)鳥類ではキンカチョウにおいて海馬損傷が空間学習の獲得/維持の両方を阻害することを明らかにした。このことは魚類大脳背内側損傷の結果と一致する。キイの位置を条件にした条件性色弁別は海馬損傷によって損傷されず、このことは色を条件とした条件性位置弁別の結果と一致する。また、鳥類用のWCST類似の課題を開発し、海馬損傷が各課題学習成立までの試行数を増加させるという知見を得た。 2)ラットでは昨年に続き、idiothetic情報を用いた空間情報処理と海馬の関係について餌をホームに持ち帰るホーミング実験により検討した。海馬損傷ラットは餌持ち帰り行動の失敗したが、頭頂葉損傷ラットには障害が見られなかった。allothetic情報処理と海馬の関係では、CA1損傷がモリス水迷路での手掛り課題ではなく場所課題に重篤な障害をもたらすことを明らかにした。 3)サル海馬CA1野に順行性標識物質注入した結果、嗅内皮質へはもちろんのこと、嗅周皮質、後部海馬傍回、下部側頭回TE野腹側部および前頭葉内側部と眼窩部に直接投射がわかった。さらに新たな投射標的部位として上側頭溝底部が見出された。両価手がかり弁別課題の一つであるTransverse Patterning Problem(TPP)は、脳虚血サルにおいて障害が示されたが、ヒトではTPP課題と同時複式弁別課題および統制課題の単一弁別課題の遂行中の脳活動をfMRIで測定し、TPP課題遂行に海馬が特異的に活動していることがわかった。 4)神経心理学的アプローチでは主に記憶を中心とする高次認知機能を調べるための課題を用いた.また,記憶リハビリテーションによるそれらの機能の回復についても検討した.その結果,健忘症状を伴う海馬損傷患者と伴わない海馬損傷患者で,通常の再認課題の成績だけでなく,他の指標にも大きな乖離が見られた.この結果は,記憶における海馬の機能の制約および他の神経基盤との分散性を示唆するものである.
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Watanabe, S.: "Effects of Wulst and ectostriatal lesions on repeated acqusition of spatial learning in pigeons."Cognitive Brain Research. 17. 286-292 (2003)
-
[Publications] 渡辺 茂: "空間認知の生理機構"生理心理学と精神生理学. 21. 31-38 (2003)
-
[Publications] Tazumi, T., Okaichi, H.: "The effects of lesions in the central nucleus of the amygdala on appetitive classical conditioning in rats."Japanese Psychological Research. 45. 202-208 (2003)
-
[Publications] Yanai, S., Okaichi, Y., Okaichi, H.: "Long-term dietary restriction causes negative effects on cognitive functions in rats."Neurobiology of Aging. 25. 325-332 (2004)
-
[Publications] Shibata, H., Yukie, M.: "Differential thalamic connections of the posteroventral and dorsal posterior cingulate gyrus in the monkey."European Journal of Neuroscience. 18. 1615-1626 (2003)
-
[Publications] 梅田 聡, 加藤元一郎: "虚記憶と前頭前野の機能について"臨床精神医学. 32. 1515-1520 (2003)
-
[Publications] Watanabe, S.(Ed.): "Comparative study of mind"Keio University Press. 281 (2003)