2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本前近代社会における下級官人の研究―真継家を中心として―
Project/Area Number |
13301016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲葉 伸道 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70135276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古尾谷 知浩 名古屋大学, 文学研究科, 助教授 (70280609)
池内 敏 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (90240861)
鈴木 祥二(羽賀 祥二) 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (30127120)
青山 幹哉 南山大学, 人文学部, 助教授 (20211691)
秋山 晶則 名古屋大学, 文学研究科, 助手 (40293691)
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Keywords | 真継家文書 / 日記 / 士族比長 / 浄福寺 / 壬生家文書 / 平田家文書 |
Research Abstract |
名古屋大学所蔵真継家文書について、日記の写真焼き付け、翻刻作業、一部修理を要する日記の補修を行った。日記は元禄13年から宝永2年の珍弘「御用日記」から始まり、明治18年の能弘「御用日記」に至るまで139点が現存している。歴代当主としては、珍弘・矩弘・親弘・量弘・康寧・則能・能弘の時代のものである。日記名称は「御用日記」「要録抜書」「御用諸式御下行日記」「諸日記」「御用諸日次記」「諸日次記」「要記」「公役私要録」「雑雑日記」など多様であるが、大きくは公的日記と私的日記に分類できるようである。本年度はこのうち元禄13年-宝永2年、宝永5年、宝永6年、正徳5年、弘化元年、文久2年の日記を翻刻した。また、これとは別に、明治初年の「士族比長取扱留」の翻刻を行った。これは、明治初年の地下官人の動向を知る上で重要な史料である。 以上の作業以外に、真継家の菩提寺である京都浄福寺に残る墓石の銘文調査を実施した。また、名大購入以前の愛知県半田市楠家に所蔵されていた頃の状態について、当時卒論を書かれた名大卒業生の中村明枝氏から聞き取りを行った。文書伝来過程および菩提寺の調査は今後も継続する必要がある。 真継家以外については、先ず地下官人の概要をつかむため前近代の下級官人・公家に関する論文・著書目録を作成した。また、京都大学文学部所蔵の壬生家文書、宮内庁書陵部所蔵の平田家文書・東山御文庫文書の調査を行い、一部については写真版を購入した。今後、柳原家の史料を初め、真継家文書を読み解くための史料調査を続ける必要がある。 夏冬二回の研究会を開催し、羽下祥二「明治維新と地下官人」および西島太郎「真継家文書の日記について」の研究発表を得た。来年度以降も研究会を継続する予定である。
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