2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13301020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本村 凌二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40147880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 隆 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90138818)
池上 俊一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70159606)
桜井 万里子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011329)
高山 博 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90226936)
中村 雄祐 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (60237443)
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Keywords | 地中海世界 / 古代 / 中世 / 社会史 / 識字率 / 初等教育 / 人口動態 / 社会変動 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、研究の締めくくりをすることであった。昨年度までに開示された論点と議論をふまえて、まず外国人研究者を招聘して国際シンポジウムを開催し、その柱として「地中海世界における読み書き能力」というテーマを掲げた。このシンポジウムのなかで地中海世界が多言語社会であることがより具体的に確認され、たとえば墓碑や劇場の掲示板などに表示されたギリシア語、ラテン語、フェニキア語などが誰を読み手として書かれているかという問題などが提示された。母国語として読み書きしたり、外国語として読み書きしたりする場合に、その間にはいかなる意識の差異が生じるのだろうか。それについてさまざまな討論を重ね、地中海世界における異文化交流の形態と進展を探る指標となることを確認している。また、公文書の公開の仕方をさまざまな地域と時代について検討した。それによって、行政組織の運営の情報開示が進んでいる場合における識字率と民主政との関連についても議論を深めることができた。さらにまた、これらの碑文や文書がどのような形で発見されたかということはそれらの保存の仕方に関わっており、それらも情報伝達の在り方を考える上で重要な論点をなすことが検討された。 これらの議論をふまえて、それぞれの研究者が自分の専門とする時代と地域について事例分析を進め、各人の研究結果を報告書としてまとめている。そこで明らかになったことは、地中海世界における言語は多様であり、地域によって使用言語が階層に応じて異なっていることがあるということである。それとともに前近代世界においては識字率の変動は一般的に議論されるのではなく行政組織・経済活動・社会構造と深く絡み合っており、それらの論点を個々に解明すべきであるという点も明らかになってきた。
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Research Products
(7 results)