2004 Fiscal Year Annual Research Report
能テキストの網羅的調査・系統分類と『謡曲大成』の作成
Project/Area Number |
13301023
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹本 幹夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90138181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 節子 神戸女子大学, 文学部, 助教授 (90211797)
落合 博志 国文学研究資料館, 文献資料部, 助教授 (50224259)
表 きよし 国士舘短期大学, 国文学科, 教授 (30214224)
小林 健二 大谷女子大学, 文学部, 教授 (70141992)
三宅 晶子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (20181993)
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Keywords | 謡本 / 番外謡 / 観世流 / 金春流 / 春藤流 / 謡曲 / 演劇博物館 / 能楽研究所 |
Research Abstract |
本年度は、今までに収集した資料のデジタル化・データベース化を進め、それに基づいた翻刻作業を各分担者・研究協力者に配分した。それぞれが6本の異本を翻刻することを前提に、作業を進めたが、各人の作業内容に大きな相違が生じたことで、調整に多くの時間を要した。現在、翻刻原稿の整理と内容調整に入っている。 収集資料は、当初目標とした全国的網羅には至らなかったが、それでも『国書総目録』「能の本」の項目に照会された以外の謡本を数多く収集できた。その多くは同項目完成以後に存在が知られるようになったものである。最終年度である本年度の具体的成果には、上野音楽学園日本音楽資料室所蔵本、法政大学能楽研究所所蔵本、天理図書館所蔵本、等の資料収集がある。なお謡本自体の文献的研究成果の一例をあげると、前年度以前の収集本の内、寛永頃刊行観世流異書体小本がある。同本は早稲田大学演劇博物館安田文庫本と伊藤正義氏蔵本との両種があり、同版の百番揃い本ながら番組編成と曲目に大きな異同があるうえに、後世の内組曲・外組曲・番外曲が混在するという、出版史上きわめて珍しい事例である。観世流外組謡刊本の最初とされる明暦野田本に先行する、きわめて貴重な本文を有することも特筆に値する。 またかつては閲覧・撮影の許可されていたものが、最近になって閲覧すら禁止されるようになった個人蔵の謡本があり、これらの収集には今後かなりの時間を要することが予想される。 さらに付言すれば、研究の成果の一部として現行曲250番の全曲に、本文校訂・解説・注釈・現代語訳・諸本校異を施した、『現代謡曲集成』全六冊を勉誠出版より刊行の予定であり、その監修・編集には研究代表者と一部の分担者が、執筆には研究分担者と研究協力者とがあたることになっている。これは来年度中に第一冊を刊行の予定である。
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