2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13304012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
砂田 利一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60004397)
新井 仁之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10175953)
中村 周 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50183520)
藤原 耕二 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60229078)
中野 史彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10291246)
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Keywords | 大偏差原理 / 結晶格子 / 乱歩 / エントロピー関数 |
Research Abstract |
ユニタリ指標に対するブロッホ理論は,元来周期的なシュレディンガー作用素のスペクトル問題であるが,これまでの研究で,離散モデル(結晶格子)・連続モデル(周期的多様帯)双方の中心極限定理に応用されることを示した.ここで,結晶格子とは,有限グラフのアーベル被覆となる無限グラフのことである.連続モデルでは,ブラウン運動が,結晶格子では乱歩が考察の対象となる.今年度の研究では,実指標に係わる研究を行い,その応用として結晶格子状の乱歩に対する大偏差原理について詳しく研究した.中心極限定理及び大偏差原理共に,推移確率の無限時間における挙動に関する性質である.研究の中で,実指標によってtwistされた推移作用素の主固有数値を詳しく研究し,それが大偏差におけるエントロピー関数に密接に結びつくことを証明した.さらに、エントロピー関数の有限値領域が,凸多面体であること,それが結晶格子の相似極限(グロモフ・ハウスドルフ極限)を考えたときの距離関数の単位球に一致することを示した.さらに有限グラフの最大サーベル被覆に対する凸多面体の境界を調べることにより,それが有理多面体であること,その頂点が単純閉路で表されることを示した.多面体の面と,有限グラフの部分グラフとの関連も明らかにした.連続モデルの場合は,様相が著しく異なることも観察したが,詳細な性質の解明は,将来の研究に待つところが多い.また,非可換の場合は,指標だけでは不充分であり,全く異なる手法が必要となるだろう.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 砂田利一: "The pressure and higher correlations for anosov lifeomorphies"Ergod. Th. & Dynam. Sys.. 21. 807-821 (2001)
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[Publications] 中村 周: "L^P-theory of the spectral shift functions"Comm. Math. Phys.. 218. 113-130 (2001)
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[Publications] 藤原 耕二: "On a theorem by Farb and Masur"Prot. Amer. Math. Soc. 128. 3463-3469 (2001)