2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13304024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末元 徹 東京大学, 物性研究所, 教授 (50134052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 耕一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90212034)
齋藤 伸吾 通信総合研究所, 関西先端研究センター, 主任研究員 (80272532)
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Keywords | フェムト秒 / 時間分解発光 / コヒーレント励起 / 顕微 / 核波束 / ハロゲン架橋白金錯体 |
Research Abstract |
本年度は、新方式の光カーゲート発光測定装置を完成させるとともに、昨年度までに開発整備の完了した上方変換時間分解発光測定装置と顕微コヒーレント励起分光装置による測定を進め、光誘起現象のダイナミクスに関していくつかの重要な結果を得た。 (1)光カーゲート発光測定装置の完成 二硫化炭素とダブルパルスを用いた光カーシャッターの開発が終了し、時間幅492fs透過効率45%、および時間幅378fs透過効率10%という画期的な性能を実現した。しかも従来の石英を用いたシングルパルスシャッターに比べて自己位相変調による白色光発生が1/1000以下であり、発光の時間分解測定用として非常に優れている事を確認した。 (2)低次元スピン系NaV_2O_5におけるコヒーレント励起分光 時間分解能15fs、空間分解能10μmの反射プローブ型顕微コヒーレント励起分光装置を完成し、感度も従来より格段に上げる事ができた。これによりにNaV_2O_5におけるコヒーレント素励起の温度変化について詳細な研究を行なった結果、磁気秩序と深く関係しているとみられるモードを160cm^<-1>に新たに見出した。 (3)核波束の映画の作成 擬1次元ハロゲン架橋白金錯体Pt-Br系の自己束縛励起子における波束の振動を発光で観測することには成功していたが、今回時間分解能を大幅に向上させ、時間原点の確定を行ない、さらに波長感度補正を正確に行う事で波束の形状そのものを時間分解記録することが可能になった。これにより、形状変化も含めた波束の運動を初めて映画として記録することに成功した。この技術は核の移動、再配列現象を伴う光誘起現象の解明に画期的な進歩をもらたすものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Kamioka, S.Saito, M.Isobe, Y.Ueda, T.Suemoto: "Coherent magnetic oscillation in the spin ladder system α'-NaV_2O_5"Physical Review Letter. 88. 127201-1 (2002)
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[Publications] L.H.Machtoub, T.Suemoto, J.Shimoyama, K.Kishio: "Resonance Raman and quasi-particle dynamics investigated in underdoped Bi2212"J.Physics and Chemistry of Solids. 63. 1077-1080 (2002)
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[Publications] L.H.Machtoub, T.Suemoto, J.Shimoyama, K.Kishio: "Relaxation study of elementary excitations in Bi2212 investigated by picosecond"J.Raman Spectroscopy. 33. 471-474 (2002)
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[Publications] T.Suemoto, S.Tomimoto: "Relaxation dynamics in photo-excited halogen-bridged Pt-complexes studied by femtosecond luminescence spectroscopy"Phase Transitions. 7・7-8. 787-797 (2002)
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[Publications] T.Matsuoka, S.Saito, J.Takeda, S.Kurita, T.Suemoto: "Overtone modulation and anti-phasing behavior of wave-packet amplitudes on the adiabatic potential surface of self-trapped excitons"Nonlinear Optics 29. 10-12. 587-593 (2002)
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[Publications] S.Tomimoto, S.Saito, T.Suemoto, Jun Takeda, Susumu Kurita: "Ultrafast dynamics of lattice relaxation of excitons in quasi-one-dimensional halogen-bridged platinum complexes"Physical Review B. 66. 155112-1-155112-10 (2002)