2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13304027
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野末 泰夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60125630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 亮太郎 東京大学, 理学系研究科, 助手 (80332592)
青木 秀夫 東京大学, 理学系研究科, 教授 (50114351)
音 賢一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30263198)
|
Keywords | ナノクラスター / 電子相関 / 強磁性 / ゼオライト / 軌道縮退 / アルカリ金属 |
Research Abstract |
ゼオライトの配列したナノスケール空間に外部からアルカリ金属を吸蔵させるとそのs電子はナノ空間全体に広がり,配列ナノクラスターが形成されて電子相関の効いた多体電子系ができあがる.しかも,そこに閉じ込められるs電子密度はクラスター当たりゼロから10個程度までと大幅に制御することが出来る.内径11Åの細孔が単純立方構造で配列したアルミノケイ酸塩ゼオライトのLTAにカリウム金属を吸蔵させた系で観測される強磁性においては,クラスター当たりの電子数が2個を越えると強磁性(自発磁化)が突然現れる.このとき,同時に電子スピン共鳴におけるg因子の値がバルクのカリウム金属の値よりも突然低下することが明らかになった.これは,s電子に対するスピン軌道相互作用が,クラスターの1p軌道の軌道縮退によって劇的に増大していることを示している.この軌道縮退によって増大したスピン軌道相互作用が更に隣接クラスターの磁気モーメント間の反対称交換相互作用を劇的に増大させ,反強磁性配列しているスピンが大きく傾斜して自発磁化が発生するという機構が考えられる.これらの機構について,局所磁場の観点から解明するためにμSRの実験を行った.その結果,内部磁場は強磁性発現と共に大きくなり,その大きさは上記の磁性モデルで矛盾無く説明できることがわかった.特に,初期非対称性が縦磁場によって急激に回復する現象が見られ,μSRの実験からも,これらの磁性モデルが妥当であることが明らかになった.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 野末泰夫: "配列ナノ空間における相関s電子系"固体物理. 36. 701 (2001)
-
[Publications] 池田卓史: "ゼオライトLTA中の配列した金属カリウムクラスターの結晶構造解析と新物性"結晶学会誌. 43. 248 (2001)
-
[Publications] T.Nakano: "Ferromagnetic Properties of Rubidium Clusters in Zeolite LTA"J.Mag.Mag.Mat. 226-230. 238 (2001)
-
[Publications] Y.Ikemoto: "Insulating Phase of Potassium Clusters Arrayed in Low-Silica Type Zeolite FAU"J.Mag.Mag.Mat. 226-230. 229 (2001)