2002 Fiscal Year Annual Research Report
高分子材料の微細加工による多機能集積マイクロシステム
Project/Area Number |
13305016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下山 勲 東京大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (60154332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 一憲 東京大学, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員
松本 潔 東京大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (10282675)
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Keywords | MEMS / 薄型柔軟ディスプレイ / 有機EL / パターニング方法 |
Research Abstract |
本年度の研究においては,高分子材料と同様に,近年研究が進められている多機能材料として,構造が単純で微細化に適している有機ELを用い,1ピクセルが数10μmの高精細ディスプレイを実現するためのパターニング方法を提案した.有機ELの陰極表面に凹凸のあるスタンプを押しつけて不要部位を除去する方法を用いた.有限要素法を用いて,陰極層に充分な破断応力を加えることのできる荷重や膜厚などの条件を求め,実験結果と比較した. 有機ELは,透明陽極層のITO,ホール注入層のα-NPD,電子輸送層及び発光層のAlq_3,陰極層のAl,スタンプ密着層のAuの5層をガラス基板上に真空蒸着で順に成膜して製作した.圧力に耐える剛性,金属膜との良好な密着性,圧力をかけやすい細いパターン,鋭角なエッジの要求を満たすスタンプとして,SiウェハをCF_4雰囲気下で等方性エッチングを行なったものを用いた. 荷重を計測しながら万力で締め付けることでパターニングを行なった.有機層140nm,荷重15MPaの条件における,金属層の膜厚に対するパターニング成功率を調べたところ,金属層の膜厚が薄いほどパターニング率の向上が見られた.金属層の最適厚さは30nmであった.金属層25nmにおける,有機層の膜厚に対するパターニング成功率を調べたところ,100nm以下の有機層でパターニング率が著しく低下した.有機層の最適厚さは100〜150nmであった. 以上の結果を用い,金属層25nm,有機層140nmを有する有機ELを,幅0.7μmのスタンプによりピッチ30μmのストライプ状にパターニングすることに成功した.25Vの直流電圧の印加により充分な発光が確認された.発光のCCD写真から,パターニング時のひずみによる有機層の破壊が原因で,ストライプの両端数μmが発光しないことが観察された.従ってこの加工法は数μmの加工精度を持ち,有機ELの高精細ディスプレイに有用であることが示された.この手法は,高分子材料を基板とした薄型の柔軟ディスプレイやMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術を用いた微小な通信・情報デバイスなどにも応用することができる.
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[Publications] Kazunori Hoshino, Isao Shimoyama: "Analysis of elastic micro optical components under large deformation"Journal of Micromechanics and Microengineering. Vol.13. 149-154 (2003)
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[Publications] T.Hasegawa, K.Matsumoto, I.Shimoyama: "30mm-pitch stripes of OLED patterned by stamping lift-off method"Proceedings of the 16th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems, Kyoto, Japan. 546-547 (2003)
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[Publications] Tetsuo Kan, Kiyoshi Matsumoto, Isao Shimoyama: "Thin-Film Waveguide with a Lens Effect Terminal for Optical Sensing Devices"Proceedings of the 16th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems, Kyoto, Japan. 315-318 (2003)