2003 Fiscal Year Annual Research Report
木造建物の構造力学的解明と静的・動的性能評価法に関する研究
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13305036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 祥之 京都大学, 防災研究所, 教授 (50027281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 正美 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (40170469)
林 康裕 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70324704)
藤谷 義信 広島大学, 工学部, 教授 (50034369)
秦 正徳 高岡短期大学, 産業デザイン学科, 教授 (40198742)
鎌田 輝男 福山大学, 工学部, 教授 (30026091)
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Keywords | 木造建物 / 耐震性能評価 / 実大振動台実験 / 伝統構法 / 貫効果 / 限界耐力計算法 / 耐震設計法 / 木材の耐久性 |
Research Abstract |
本研究では、木造特有の特性を考慮して木造建物の各部要素から構造物全体までの理論解析的、実験的に総合的な研究を推進して木構造の構造力学的な解明を行うこと目的として、以下の分担課題に分類し実施した。 (1)木造解析法の構築と検証:単位立体フレームの耐震性能評価実験で得られる復元力特性をもとに非線形同定法などにより解析モデルを構築する方法を導いた。また、木材の不均質性・不確定性や木組みの複雑さによる不確定性が各構造要素の復元力特性に与える影響を調べ、不確定性を考慮した構造解析法や地震応答解析法の開発を行った。 (2)伝統構法の力学的解明:伝統構法の力学的特徴である柱一貫等からなる軸組構造の復元力特性とめり込みの効果、柱の傾斜復元力特性、柱と組物との相互作用、礎石上に置かれている柱の滑り等の効果などについて実験的、解析的に明らかにした。伝統木造軸組の構造的特徴を盛り込んだ実大試験体を用いて実験的に検証を行った。このように伝統木造建築が持つ構造力学的なメカニズムを解明することは、文化財としての伝統的木造建築の保存・修復技術への応用を図った。 (3)構造性能評価法の解析的・実験的開発:木造構造物の各構造要素や建物全体について静的・動的構造性能の理論解析的、実験検証的な評価方法の開発を行った。基本となる軸組の耐震性能は、壁要素のみならず軸組要素も重要であるので、壁等の耐震要素によって大きく異なり、壁倍率という尺度のみでは適切に耐震性能を評価することが困難であるので、実験等に基づいて、変形性能に応じた耐力など設計資料として整備した。 (4)長寿命木構造の開発:土壁下地となる荒壁パネルを開発し、その耐震性能を実験的に評価した。この荒壁パネルは、壁土、新聞紙などの自然素材を原材料としてパネル状に圧縮成型・乾燥により製品化したもので、新築はもちろん既存建物の耐震補強にも利用できる。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 鈴木祥之, 前野将輝, 西塔純人, 北原昭男, 後藤正美, 須田達, 大下達哉: "伝統木造軸組の実大振動実験・静的水平力載荷実験"日本建築学会構造系論文集. No.574. 135-142 (2003)
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[Publications] Li, S.J., H.Yu, Y.Suzuki: "Identification of non-linear hysteretic systems with slip"Computers & structures. Vol.82, n2-3. 157-165 (2004)
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[Publications] Li, S.J., Y.Suzuki, M.Noori: "Identification of hysteretic systems with slip using bootstrap filter"Mechanical Systems and Signal Processing. Vol.18, NO.4. 781-795 (2004)
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[Publications] 山田耕司: "木造住宅の保有水平耐力分布とその推定法"日本建築学会技術報告集. 第18号. 91-96 (2003)
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[Publications] 山田耕司, 後藤正美: "筋かい耐力壁復元力特性のばらつきと地震応答のばらつき"構造工学論文集. Vol.50.B(掲載予定). (2004)
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[Publications] 秦正徳, 中谷浩, 若島嘉明, 園田里見: "長期耐用された地域型木造住宅の耐震診断におけるピロディン閾値"木造保存. Vol.30, No.1. 6-14 (2004)
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[Publications] 松本慎也, 藤谷義信, 野島千里, 岩佐裕一, 樫原健一: "伝統木造建築物の地震応答解析"構造工学論文集. Vol.49B. 251-257 (2003)
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[Publications] E.-D.Wong, P.Yang, M.Zhang, Q.Wang, T.Nakao, K.-F.Li, S.Kawai: "Analysis of the effects of density profile on the bending properties of particleboard using finite element method(FEM)"Holzforschung, International Journal of the Biology, Chemistry, Physics and Technology of Wood Holz als Roh- und Werkstoff. 61. 66-72 (2003)
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[Publications] 村上雅英, 景山誠, 鈴木有, 稲山正弘: "在来軸組工法木造住宅の構造計算手法の開発 その70 土壁の剛性算定式とその検証"日本建築学会大会学術講演梗概集C-1構造III. 293-294 (2003)
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[Publications] 鎌田輝男: "十字型断面を持つ柱で構成された木造軸組の水平耐力特性について"日本建築学会中国支部研究報告集. 第26巻. 119-122 (2003)
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[Publications] 斎藤幸雄, 鈴木祥之, 樫原健一, 野島千里: "限界耐力設計法"2003年度日本建築学会大会パネルディスカッション「伝統的構法を用いた木質構造設計資料」. 55-59 (2003)
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[Publications] 森井雄史, 林康裕: "表層地盤の地震動増幅特性と入射地震動特性が木造建物応答に及ぼす影響"日本建築学会構造系論文集. No.568. 75-82 (2003)
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[Publications] 林康裕, 森井雄史, 鬼丸貞友, 吉川正隆: "限界耐力計算法における地盤増幅係数Gs評価に関する研究"日本建築学会構造系論文集. No.567. 41-46 (2003)
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[Publications] 岩本いづみ, 前野将輝, 大西功人, 後藤正美, 鈴木祥之: "単位木造フレームを用いた動的・静的実験による木造軸組の耐震性能評価 その9 差鴨居を有する伝統木造軸組の曲げモーメント分布"日本建築学会学術講演梗概集. C-1,構造III. 123-124 (2003)
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[Publications] 後藤正美, 山田真澄, 越道一也, 鈴木祥之: "単位木造フレームを用いた動的・静的実験による木造軸組の耐震性能評価 その7 連続壁の復元力特性"日本建築学会学術講演梗概集. 構造III C-1分冊. 119-120 (2003)
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[Publications] 小林正美, 竹内典之, 高橋康夫, 鉾井修一, 鈴木祥之, 渡邊史夫他: "木造都市の設計技術"コロナ社. (2003)
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[Publications] 鈴木祥之他: "防災学講座・地震災害論"山海堂. (2003)
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[Publications] 鈴木祥之他: "伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル-限界耐力計算による耐震設計・耐震補強設計法"学芸出版社. 231 (2004)