2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13305052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 健人 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50005500)
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Keywords | セラミックス / 粒界量子構造 / 超塑性 / 微量添加 / 第一原理分子軌道計算 / 高温延性 / ジルコニア / アルミナ |
Research Abstract |
本研究では,超塑性セラミックス及び高温耐クリープ性セラミックスにおける、極微量添加物による延性改善や耐熱性の顕著な向上といった特異な現象について基礎データを収集すると共に、第一原理計算の手法を駆使して、高温用セラミックスの機械的特性に関する統一的理解を図ることを目的としている。最終年度である今年度は、ゲルマニウムやバリウム等の陽イオンを0.1〜3mol%程度の微量添加したジルコニア系セラミックスを作成し、その超塑性挙動を調べた。高温機械試験には、今年度備品として購入した大気高温炉を用いた。また、高温でのセラミックスの変形及び緻密化挙動をレーザー変位計で測定した。その結果、ジルコニアセラミックスにおいては、粒界に高濃度に偏析した添加陽イオンが変形挙動に積極的に関わっていることが判明した。また、単相ジルコニアに対し複数種の陽イオンをやはり微量添加することによって、一種類の陽イオンの添加とは異なる効果を及ぼすことが明らかとなった。従来、ジルコニアセラミックスの高温における物質移動現象は、粒内での拡散であるとされてきたが、本研究で得られた結果はこれを覆すものであり、当該分野に新たな知見をもたらすこととなった。さらに、複数種の微量元素添加によっても変形挙動に大きな変化が生じるが、その傾向は必ずしも単独種元素の微量添加効果から予測されるものとは同一でなく、さらなる新規な現象を見出すに至った。たとえば、NdやGe、Ti等から2種類以上の元素を選びジルコニアに対して添加すると、その超塑性変形能は大幅に向上し、且つその高温延性は1種類の元素を添加するよりも大きな効果が得られる。この解析のために、現象論的解析に基づいた粒界破壊抵抗の評価を行うと共に、第一原理分子軌道計算を用いて電子状態からの解析を進め、高温破壊に対する臨界キャビティサイズと、粒界における共有結合性との相関を認めた。この結果により、粒界量子構造設計と高温力学特性とを結びつけるための理論的バックグラウンドを確立するに至った。これらの成果は、各種国際学術論文誌上および超塑性国際会議において発表し、高い評価を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Saito, T.Furuta, J.-H.Hwang, S.Kuramoto, K.Nishino, N.Suzuki, R.Chen, A.Yamada, K.Ito, Y.Seno, T.Nonaka, H.Ikehata, N.Nagasako, C.Iwamoto Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Multifunctional alloys obtained via a dislocation-free plastic deformation mechanism"Science. 18. 464-467 (2003)
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[Publications] T.Sakuma: "Grain boundary plasticity and failure in oxide ceramics at high temperature"Adv.Quantum Chemistry. 42. 23-33 (2003)
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[Publications] K.Nakatani, H.Nagayama, H.Yoshida, T.Yamamoto, T.Sakuma: "The Effect of Grain Boundary Segregation on Superplastic Behavior in Cation-Doped 3Y-TZP"Scripta Mater.. 49. 791-795 (2003)
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[Publications] S.Watanabe, H.Yoshida, T.Sakuma: "The Densification Behavior and Grain Boundary Diffusivity in Cation-Doped Alumina"Key Eng.Mater.. 247. 67-70 (2003)
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[Publications] H.Yoshida, Y.Ikuhara, T.Sakuma: "Grain Boundary Electronic Structure and High Temperature Plastic Flow in Polycrystalline Al_2O_3"Key Eng.Mater.. 247. 263-266 (2003)
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[Publications] H.Yoshida, H.Nagayama, T.Sakuma: "Small Dopant Effect on Static Grain Growth and Flow Stress in Superplastic TZP"Mater.Trans.. 44. 935-939 (2003)