2002 Fiscal Year Annual Research Report
室温作動型光検知式水素ガスセンサの作動メカニズムの解明
Project/Area Number |
13305060
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高田 雅介 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20107551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡元 智一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (60313566)
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Keywords | 水素ガスセンサ / 室温作動 / 光検知方式 / Pd薄膜 / 耐久性 / パターン化 / ポリエチレンテレフタレート / ポリカーボネート |
Research Abstract |
本研究は、薄膜材料の光学的性質が水素化に伴って変化する現象を検出原理とする水素ガスセンサの応答・回復速度、感度、耐久性を向上させるための設計指針を提供することを目的としている。これまでの研究で、Pd単層薄膜を用いたセンサは優れた応答・回復速度を有すること、膜厚の増加とともに感度が増加することがわかっている。しかし、Pdは、膜厚が数十nm以上になると水素化により約10%の体積膨張を起こすため、基板にガラスを用いた場合、膜が基板から剥がれやすくなるという耐久性の問題を有している。そこで、今年度はPd単層薄膜センサの耐久性を向上させるために、薄膜のパターン化と基板材料の検討を行った。 スパッタ時にガラス基板をマスキングすることによりPd薄膜をパターン化したセンサを作製し、その特性を評価した。マスキングを行わなかったPd薄膜では、繰り返し水素を検知すると感度が低下し、最終的に膜が基板から剥離したのに対し、Pd薄膜をパターン化することにより、基板からの剥離は抑制されることがわかった。また、パターンを微細化することにより、耐久性が高く、感度の大きな水素ガスセンサが得られることがわかった。 ガラスよりもヤング率の小さな有機材料を基板として用いることでPd薄膜の基板からの剥離の抑制を試みた。基板としてポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリカーボネート(PC)を用いることによりPd薄膜の基板からの剥離は抑制された。また、繰り返し水素を検知しても感度の低下はみられなかった。これらのことより、ヤング率の小さな基板を用いることによりセンサの耐久性が向上することがわかった。しかし、PET基板試料では水素検知回数の増加に伴い回復時間が長くなったこと、PC基板試料では安定した繰り返し特性を示したことから、検知特性において基板材料が大きく影響することもわかった。これらの結果から基板としてPCを用いることにより、優れた特性を有する水素ガスセンサが得られることがわかった。
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Research Products
(1 results)