2003 Fiscal Year Annual Research Report
テンサイにおける細胞質雄性不稔の原因遺伝子の同定と花粉退化メカニズムの解明
Project/Area Number |
13306001
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三上 哲夫 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50133715)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60192556)
久保 友彦 北海道大学, 大学院・農学研究科, 講師 (40261333)
|
Keywords | テンサイ / 細胞質雄性不稔性 / ミトコンドリア遺伝子 / 花粉退化メカニズム / 35kDaタンパク質 / preSATP6 / in organello翻訳 / ウエスタン解析 |
Research Abstract |
今年度得られた研究成果は次の通りである。 [1]Owen型細胞質雄性不稔をひき起こすpreSATP6タンパク質の局在性 前年度までに、Owen細胞質雄性不稔の原因ミトコンドリア遺伝子preSatp6は35kDaタンパク質を産生することを証明した。このタンパク質(preSATP6)の特性解明の一助として、ミトコンドリア内での局在性について検討を加えた.Owen型不稔株の肥大根から単離したミトコンドリアを膜画分と可溶性画分とに分別し、両画分に対してウエスタンブロット解析を試みた。その結果、膜画分にのみシグナルが検出された。従って、preSATP6はトウモロコシの細胞質雄性不稔に関与するURF13等と同様、膜結合タンパク質と考えられる。 [2]preSATP6の翻訳機構 preSatp6配列は下流のSatp6コア配列とin-frameで融合し、1個のキメラ遺伝子を形作っている.ノーザンブロット解析を通じて、両配列を含むジシストロニック転写物が検出された。両配列の境界域に終止コドンはみられず、またRNAエディティングによる終止コドンの形成も見出されない。そこで、ジシストロニック転写物から先ずpreSATP6-SATP6の融合タンパク質が翻訳され、その後プロテアーゼでpreSATP6タンパク質とSATP6タンパク質に切断されるのではないかと仮定した.これを確かめるため、プロテアーゼ活性を阻害するEDTA添加の下にin organello翻訳実験と免疫沈降実験を試みた。その結果,preSATP6タンパク質の蓄積量が著しく減少することが判明し、プロテアーゼによるプロセシングの可能性が示唆された.ただ、preSATP6とSATP6の両者を含む前駆体タンパク質は検出されなかった.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] R.Yui: "Antisense inhibition of mitochondrial pyruvate dehydrogenase E1 α subunit in anther tapetum causes male sterility"The Plant Journal. 34. 56-66 (2003)
-
[Publications] S-N.Hashida: "Temperature shift coordinately changes the activity and the methylation state of transposon Tam3 in Antirrhinum"Plant Physiology. 132. 1207-1216 (2003)
-
[Publications] 三上 哲夫: "植物遺伝学入門(三上哲夫編著)"朝倉書店(印刷中). (2004)