Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲村 達也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (00263129)
小崎 隆 地球環境学堂, 教授 (00144345)
天野 高久 京都大学, 農学研究科, 教授 (40202692)
村主 勝彦 京都大学, 農学研究科, 助手 (10226483)
飯田 訓久 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50232129)
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Research Abstract |
H14年度は,奈良県桜井市大西地区の田畑輪換ほ場と京大附属高槻農場において実験を行った。大西地区ほ場では,土壌特性値の分析,イネの生育調査,軽飛行機によるリモートセンシング,ほ場ごとに穂肥量の調整,生もみの収量調査などである。高槻農場での実験内容は,土壌特性値の分析,イネの生育調査(草丈,茎数,SPAD,窒素含有量),リモートセンシング(地上撮影,ヘリと軽飛行機による航空撮影,衛星画像),補肥の可変施肥,生もみの収量調査,玄米の食味調査などである。 大西地区ほ場:土壌分析の結果,可給態窒素で圃場管理による大きな違いが生じており,窒素肥沃度において田畑転換の履歴がもっとも強く反映されることが明らかとなった。また,生育量の空間変動とその要因解析の結果,幼穂形成期の地上部窒素保有量のうち,管理可能な変動は圃場ごとの土壌,苗,施肥など10変量から抽出した土壌窒素要因,根域管理要因及び地上部管理要因の3要因によって約90%が制御可能であることが明らかとなった。収量調査の結果,1筆のほ場内よりもほ場間の収量変動の方が大きかった。 高槻農場:土壌特性値の空間分布は全般的に前年度と同様の結果を示した。また、全量に関する特性値の空間分布は水溶性など可動性の高い区画分のものよりも時間的安定性が高いことも明らかとなった。これらの結果は水田土壌の精密管理を行う上での基礎情報として重要であると考えられた。水稲穂肥施用時の地上部窒素保有量の空間変動をリモートセンシングにより定量的に検出し,その窒素保有量に依存する穂肥施用時から出穂期における土壌由来の窒素吸収量そして同期間の化学肥料の吸収率を推定し,地上部窒素保有量の空間変動に応じて適切な穂肥窒素量を決定する手法を開発した。この手法を用いれば,水稲の生産性を維持しつつ穂肥窒素の適正投入による環境への負荷軽減が可能になると考えられた。また,連続して3年間穂肥量のコントロールをした結果,収量の変動が年々小さくなる傾向を示した。
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