2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱化学物質によるヒト次世代影響の解明と予防医学的リスク評価
Project/Area Number |
13307015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸 玲子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80112449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 裕之 星薬科大学, 薬品分析化学, 教授 (50150173)
藤田 正一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)
佐田 文宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90187154)
藤田 晃三 札幌市衛生研究所, 所長(研究職)
小柳 知彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80001923)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / 次世代影響 / リスク評価 / 神経発達 / 甲状腺機能 / 免疫機能 / 先天異常 / シトクロムP450 |
Research Abstract |
母子を数年間追跡し、神経発達、甲状腺機能、免疫機能への影響及び先天異常を調査し、同時にビスフェノールA、PCB、ダイオキシン類、植物エストロゲン等、内分泌かく乱の疑いのある環境化学物質及び水銀等の重金属の測定を行い、濃度と影響との関係を検討している。濃度/蓄積量の測定を行って、内分泌かく乱物質による機能低下、発達遅延及び先天異常のリスク評価を行う。「注意欠陥・多動障害」など行動異常を伴う発達障害に関しては、妊娠時の保存サンプルに基づき、前向きコホート内症例対照研究及び後向き症例対照研究の形で、内分泌機能、特に甲状腺機能を詳細に調べ、甲状腺を介する神経系への影響評価を行う。 本年度は、1.前向きコホート研究における甲状腺機能マススクリーニングと神経発達-妊婦の甲状腺機能と児の神経発達、2.尿道下裂、停留精巣の尿路生殖器系の先天異常に関する遺伝要因の解析、3.シトクロムP450など異物代謝酵素遺伝子の多形解析と毒性評価の検討、4.生体試料中のビスフェノールAおよび水銀濃度の測定の検討を行った。 これまでに前向きコホート研究に調査協力を得られ、妊婦マススクリーニングの検査結果の照会可能であった妊婦のTSH値の平均値は1.6μU/ml、フリーT4の平均値は1.1ng/dl、児のTSH値の平均値は3.7μU/ml、フリーT4の平均値は2.1ng/dlであった。今後、さらに症例を増やし、母親の環境的要因、ドーパミン受容体遺伝子等の遺伝的要因及び児の認知機能等との関連を検討する予定である。 尿道下裂児のCYP17遺伝子、尿道下裂の母親と停留精巣児のCYP1A1、GSTM1、GSTT1遺伝子多型と疾患リスクを検討したが、いずれも有意ではなかった。 母親の血清ビスフェノールA濃度、毛髪中の水銀濃度の測定値と児の神経発達、甲状腺機能、免疫機能への影響に関しては、今後さらに検討する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 倉橋典絵, 岸玲子: "停留精巣の発症要因に関する疫学研究-特に内分泌攪乱物質について"日本衛生学雑誌. 57・4. 636-644 (2003)
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[Publications] 岸玲子, 佐田文宏: "内分泌かく乱物質による先天異常と不妊・不育症に関する疫学的研究"食品衛生研究. 62・2. 44-54 (2002)
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[Publications] 加藤 静恵, 岸 玲子 et al.: "注意欠陥多動(ADHD)を示す軽度発達障害児の現在および新生児マススクリーニング時の甲状腺機能-マススクリーニングデータとの比較"第13回日本疫学会抄録集. 13・1. 95-95 (2003)
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[Publications] 笠井 世津子, 岸 玲子 et al.: "尿道下裂のリスク要因に関する症例対象研究"第13回日本疫学会抄録集. 13・1. 180-180 (2003)
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[Publications] 笠井世津子, 岸玲子 et al.: "尿道下裂患者のCYP17遺伝子多型"第73回日本衛生学会抄録集. 58・1. 202-202 (2003)
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[Publications] Sata F, Kishi R, et al.: "Glutathione S-transferase M1 and T1 polymorphisms and the risk of recurrent pregnancy loss"Mol Hum Reprod. 9・3. 165-169 (2003)
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[Publications] Yamada H, Kishi R, et al.: "Maternal serum and amniotic fluid Bisphenol A concentrations in the early second trimester"Reprod Toxicol. 16・6. 735-739 (2002)