2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎ウイルスが惹起する生と死のシグナル伝達標構を介した細胞障害機序解明
Project/Area Number |
13307019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小俣 政男 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90125914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 直也 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90313220)
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 医員
谷口 博順 東京大学, 医学部附属病院, 医員
田中 康雄 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | B型肝炎ウイルス / C型肝炎ウイルス / シグナル伝達 / 自然免疫 / 持続感染 |
Research Abstract |
本研究では,肝細胞に感染した肝炎ウイルスの産生する蛋白が直接的に肝細胞の死および生に至るシグナルに与える影響を分子レベルで検討し,肝炎ウイルスによる肝細胞障害機序を解明することを目的としている. 1)B型肝炎ウイルスX蛋白(HBx)がLeat shock protein 60(Hsp60)と結合することを見出した.HBxの88-117のアミノ酸がHsp60との結合には必要であった.Hsp60との結合により,HBxのアポトーシス誘導能が亢進することが明らかになった.2)HBxがJAB1とも結合することを見出した.JAB1との結合により,HBxのAP-1活性化能が亢進することが明らかになった.HBxによる肝細胞の癌化に関連している可能性がある.3)C型肝炎ウイルスNS3蛋白が宿主のTBK1と結合し,HCV複製中間体である二重鎖RNAによるinnate immunityの活性化を阻害していることを見出した.これにより,IRF3活性化,IFN-β産生は抑制され,C型肝炎ウイルスの持続感染に寄与するものと考えられる.4)C型肝炎ウイルスNS5B蛋白がTLR3,TRIFを介して,宿主のinnate immune responseを活性化し,その活性化をNS4A, NS4B, NS5Aの各C型肝炎ウイルス蛋白が阻害することを見出した.これもC型肝炎ウイルスの持続感染に寄与するものと考えられる.5)C型肝炎ウイルスレプリコンを用いた実験により,C型肝炎ウイルスの増殖自体が,宿主のTGF-β/Smad経路を活性化することを見出した.TGF-βには抗HCV活性が認められ,C型肝炎ウイルス感染により,宿主の防御機構が活性化されるものと考えられた.
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Research Products
(6 results)