2002 Fiscal Year Annual Research Report
キメラRNA/DNAを用いたDuchenne型筋シストロフィーの治療に関する研究
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13307026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 教授 (10157266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 泰弘 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (40281141)
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Keywords | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / キメラRNA / DNA / ジストロフィン / 点変異 / 筋細胞 |
Research Abstract |
キメラRNA/DNAを用いて、遺伝子の点変異の修正を行うという方法が注目されている。この方法が有効に機能すれば、遺伝子の点突然変異により引き起こされる疾患に対する根本的治療となるものと大きく期待されている。 今回、ジストロフィン遺伝子の点変異によるナンセンス変異により発症したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者から得た筋細胞をもちいて、キメラRNA/DNAが点変異を正常化しジストロフィン蛋白を発現させることができるかどうかについて検討した。 ジストロフィン遺伝子のエクソン19内の点変異(C2510T : CGA→TGA、Arg→stop)により発症したDMD患児の筋生検により得た筋組織を培養し、その細胞にキメラRNA/DNAを導入した。キメラRNA/DNAは、ジストロフィン遺伝子エクソン19内C2510Tの周囲の配列と相同的な配列とし、1塩基に野生型の配列をいれたものを合成した。 FITCラベルしたキメラRNA/DNAを筋細胞に導入し、その動態を蛍光顕微鏡で観察した。キメラRNA/DNAはほぼ全ての細胞の核内に導入されている事が確認できた。導入後48時間をピークにキメラRNA/DNAの蛍光度は漸減した。 キメラRNA/DNAのジストロフィンタンパク誘導能を検討した。キメラRM/DNAを導入した後筋細胞を分化させ、7日目、10日目の筋管細胞をジストロフィン染色した。一部の筋管細胞でジストロフィン染色陽性細胞を認めた。ジストロフィン染色陽性細胞は、全視野中3〜4ヶ所で認め、その頻度は0.001〜0.01%であった。7日目、10日目でジストロフィン染色陽性細胞の割合に変化はなかった。標的部位とは異なる配列のキメラRNA/DNAを導入した細胞では、ジストロフィン染色陽性細胞は全く認められなかった。 以上のことからキメラRNA/DNAは、DMD患者由来の筋細胞の一部で点変異を正常化しでジストロフィン産生を誘導することが確認された。今後、さら二個の正常化能の向上を図り、臨床応用に近づける予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Saito-Ohara F, Fukuda Y, Ito M, Agarwala K, Hayashi M, Matsuo M, Imoto I, Yamakawa K, Nakamura Y, Inazawa J.: "The Xq22 inversion breakpoint interrupted a novel Ras-like GTPase gene in a patient with Duchenne muscular dystrophy and profound mental retardation"Am J Hum Genet.. 71. 637-645 (2002)
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[Publications] Suminaga R, Takeshima Y, Adachi K, Yagi M, Nakamura H, Matsuo M.: "A novel cryptic exon in intron III of the dystrophin gene was incorporated into dystrophin mRNA with a single nucleotide deletion in exon 5"J Hum Genet.. 47. 196-201 (2002)
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[Publications] Matsuo M.: "Duchenne and Becker muscular dystrophy : from gene diagnosis to molecular therapy"IUBMB Life. 53. 147-152 (2002)
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[Publications] Adachi K, Takeshima Y, Wada H, Yagi M, Nakamura H, Matsuo M.: "Heterogous dystrophin mRNA produced by a novel splice acceptor site mutation in intermediate dystrophinopathy"Pediatr Res.. 53. 125-131 (2003)
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[Publications] Yagi M, Takeshima Y, Nakamura H, Matsuo M.: "Two alternative exons can result from activation of the cryptic splice acceptor site deep within intron 2 of the dystrophin gene in a patient with as yet asymptomatic dystrophinopathy"Hum Genet.. 112. 164-170 (2003)