2003 Fiscal Year Annual Research Report
一卵性双生児不一致例のゲノム解析によるメチル化機構の精神疾患成因への関与の解明
Project/Area Number |
13307027
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡崎 祐士 三重大学, 医学部, 教授 (40010318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 秀次 九州東海大学, 農学部, 講師 (20289630)
今村 明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (40325642)
陣野 吉廣 琉球大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20179097)
加藤 忠史 独立行政法人理化学研究所, 精神疾患動態研究チーム, チームリーダー (30214381)
佐々木 司 東京大学, 保健管理センター, 助教授 (50235256)
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Keywords | メチル化 / 組織特異性 / メチルシトシン総量 / 統合失調症 / 双極性障害 / XBP1 / FRGP / ゲノム差異 |
Research Abstract |
15年度の主な研究知見は以下の通りである。 1.双極性障害(躁うつ病遺伝子の発見):一卵性双生児のリンパ芽球DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析の結果、躁うつ病不一致例(4%以上)は健常対照(0.8%)に比べ、遺伝子発現差異が大であった。2組の躁うつ病不一致一卵性双生児で共通して低下していた遺伝子群の中に、小胞体ストレス機構制御に関連する遺伝子XBP1を見出した。躁うつ病では小胞体ストレス制御が低下していた。XBP1上流域に-116G/C多型を発見した。-116Gアリルは-116Cアリルに比べ、躁うつ病罹患可能性が約4.6倍高かった。さらに、躁うつ病治療薬バルプロ酸が、XBP1を制御する遺伝子ATF6の働きを強め、小胞体ストレス制御機能を正常化することを見出した(Kakiuchi et al., Nature Genetics, 2003)。 2.末梢血DNA及び遺伝子のメチル化の検討 (1)総メチルシトシン含量の統合失調症患者解析:各200人以上の統合失調症患者と健常対照者白血球DNAをHPLCで測定・解析を行った。メチルシトシン総量に性差を認め、男性が有意に高かった。男性患者のメチルシトシン総量は健常男性よりも有意に低かった。特にこの差は若年者で顕著であった。一方、女性では有意な差はなかった。 (2)DNAメチル化の組織特異性 統合失調症の病態に関連するDRD2など数個の遺伝子のプロモーター周辺、及びHERV-Kの5'LTRのメチル化状態を胎児脳、肝、胎盤及び成人末梢白血球DNAで検討した。プロモーター周辺にCpG islandを持つ遺伝子はすべての組織で非メチル化状態、一方、CpG islandを持たない遺伝子は組織間で顕著なメチル化状態の差異を示した。また、個体間相異も見出された。 3.FRGP (Fluorescent Restriction Genomic Profiling)による一卵性双生児のゲノム差異 メチル化感受性のEaglを制限酵素とするFRGPにより、昨年の自閉症に続いて、統合失調症と双極性障害不一致例で、差異を示したDNAフラグメントを含む各1つの遺伝子を同定した。 以上のように、統合失調症など精神疾患成因へのメチル化の関与が強く示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kakiuchi C, Iwamoto K, Ishiwata M, Bundo M, Kasahara T, Kusumi I, Tsujita T, Okazaki Y, Nanko S, Kunugi H, Sasaki T, Kato T: "Impaired feedback regulation of XBP1 as a genetic risk factor for bipolar disorder"Nature Genetics. 35(10). 171-175 (2003)
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[Publications] Nakamura A, Okazaki Y, Sugimoto J, Oda T, Jinno Y: "Human endogenous retroviruses with transcriptional potential in the brain."J Hum Genet. 48(5). 575-581 (2003)
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[Publications] C.Fuke, M.Shimabukuro, A.Petronis, J.Sugimoto, T.Oda, K.Miura, T.Miyazaki, C.Ogura, Y.Okazaki, Y.Jinno: "Age related changes of the 5-methylcytosine content in human peripheral leukocytes and placentas : an HPLC-based study."Annals of Human Genetics. (in press). (2004)
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[Publications] 岡崎祐士, 辻田高宏, 加藤忠史: "双生児・同胞研究が明らかにした統合失調症の成因"臨床精神医学. 32(11). 1315-21 (2003)
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[Publications] 山下秀次: "簡易DNAメチル化検定法としてのHpa II-PCR法"九州東海大学農学部紀要. 21(in press). (2004)
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[Publications] 栃木衛, 日比野浩之, 佐々木司: "統合失調症とエピジェネティックス"実験医学. 21(12). 1571-75 (2003)
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[Publications] 岡崎祐士, 三好修, 佐々木司: "精神病(統合失調症、躁うつ病)"図説 分子病態学(一瀬白帝・鈴木宏治 編). 501 (2003)