2003 Fiscal Year Annual Research Report
中枢性エネルギー代謝調節の分子機構の解明―レプチン抵抗性を中心に―
Project/Area Number |
13307033
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 公則 京都大学, 医学研究科, 助手 (40271598)
井上 元 京都大学, 医学研究科, 講師 (20260606)
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
林 達也 京都大学, 医学研究科, 助手 (00314211)
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Keywords | レプチン / 脂肪萎縮性糖尿病 / 糖代謝 / インスリン分泌低下型糖尿病 / 視床下部接触調節ペプチド / 中枢性エネルギー代謝調節 |
Research Abstract |
我々が開発したレプチン過剰発現トランスジェニックマウス(Lep Tg)を用いてインスリン分泌の枯渇とやせ、過食傾向を伴う1型糖尿病の病態におけるレプチンの病態生理的意義について検討した。即ち、Lep Tgに対してストレプトゾトシン(STZ)を投与して膵β細胞の破壊を起こし、インスリン分泌能を極度に低下させた。Lep Tgは脂肪組織が全身性に消失しているにもかかわらず肝臓における異所性のレプチン過剰産生によって優れたインスリン感受性を示すが、β細胞の破壊によってLep Tgにも重篤な糖尿病が誘導された。 しかし、STZによって糖尿病を来したLep Tg(STZ-Lep Tg)はSTZを投与した対照非トランスジェニック同胞(STZ-non Tg)に比較すると明らかに優れたインスリン感受性を示し、STZ-non Tgの血糖を正常化するのに必要なインスリンの1/10以下の量でSTZ-lep Tgの血糖を正常化することができた。STZ-nonでは血中のインスリン濃度、レプチン濃度の著しい低下により顕著な過食を示した。 実際、STZ-non Tg視床下部においては摂食亢進性神経ペプチドであるNPY,AGRPの遺伝子発現が著しく増加し、一方、摂食抑制性ペプチドであるPOMCの発現が著明に低下していた。 一方、STZ-lep Tg視床下部においてはSTZ-non Tgで観察された神経ペプチドの発現変化が是正されており、高レプチン血疾の持続がSTZ-non Tgの過食を防御したと考えられた。以上の研究結果から、レプチンはインスリン分泌の低下と体脂肪量の減少を背景とするようなインスリン分泌低下型糖尿病あるいはI型糖尿病に対して、インスリン感受性亢進作用と食欲抑制作用の両面から代謝を改善する可能性が示され、糖尿病病態における中枢性エネルギー代謝調節の中でインスリンとレプチンが果たす協調的な役割が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Takahashi-Yasuno et al.: "Leptin receptor (Ob-R) Arg223Gln Polymorphism is associated with serum cholesterol elevation and impairment of cholesterol lowering effect by simvastatin in Japanese men"Diabetes Res.Clin.Pract.. 62. 169-175 (2003)
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[Publications] F.Miyanaga et al.: "Leptin as an adjunct of insulin therapy in insulin-deficient diabetes"Diabetologia. 46. 1329-1337 (2003)
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[Publications] C.Son et al.: "Amelioration of diet-induced obesity in mice overexpressing uncoupling protein 3 in skeletal muscle"Diabetologia. 47. 47-54 (2004)