2002 Fiscal Year Annual Research Report
子宮筋腫の発生機序・生物学的特性の解析に基づく新しい治療法の開発
Project/Area Number |
13307047
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二階堂 敏雄 信州大学, 医学研究科, 助教授 (50180568)
刈谷 方俊 京都大学, 医学研究科, 講師 (90243013)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
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Keywords | 子宮筋腫 / Wntシグナル / MnSOD / PEP-19 / S100蛋白 / 虚血再還流ストレス / 肥満細胞 / トラニラスト |
Research Abstract |
子宮筋腫におけるWntシグナルについて検討すると、子宮筋腫ではその中心となる因子であるβカテニンの発現を抑制するWntシグナルの低下が見られるにも関わらず、逆にβカテニンは発現亢進しており、このシグナル系の異常が筋腫の病態に関与する可能性が示唆された。活性酸素のscavengerであるMnSODを免疫組織化学で検討すると、増殖期に子宮筋腫で子宮平滑筋より強い発現を認め、子宮筋腫では子宮平滑筋よりもより強い酸化ストレスを受けている可能性があり、また子宮筋腫は酸化ストレスに強い性格を有する結果が得られた。他にPEP-19、S100蛋白の子宮筋腫組織での発現亢進を新たに見い出し、その意義の解析を進めた。 子宮筋腫発生母地と考えられる子宮平滑筋組織においてp53、p21、アポトーシス陽性細胞、Ki-67の発現を免疫組織化学にて検討すると、数は少ないがp53、p21、アポトーシス陽性細胞はいずれも月経周期内の卵胞期にのみその発現を認めるという偏りが判明した。一方、細胞増殖(Ki-67)は黄体期中心であった。これは増殖した平滑筋が月経時の子宮収縮による止血機構(虚血再還流ストレス)のなかでDNA障害を起こし、これが卵胞期において修復あるいは障害を受けた細胞の排除機構がある可能性を捕らえたものである。これは平滑筋腫瘍細胞の発生の観点からみて大変重要な知見である。 子宮筋層に多数存在する肥満細胞の機能を検討するため、ヒト子宮に存在する肥満細胞と含有生理活性物質や表面受容体などが類似しているヒト肥満細胞株を用いて子宮平滑筋細胞と共培養を行ったところ、子宮平滑筋細胞の増殖が亢進し、その増殖調節機構への肥満細胞の関与が示唆された。 治療においては、抗線維化剤であり、肥満細胞の安定化作用も有するトラニラストがin vitroで培養子宮筋腫細胞の増殖抑制作用を有することを見い出し治療薬としての可能性を報告した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fukuhara K, et al.: "Secreted frizzled related protein 1 is overexpressed in uterine leiomyomas, associated with a high estrogenic environment and unrelated to proliferative activity"J Clin Endocrinol Metab. 87. 1729-1736 (2002)
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[Publications] Shime H, et al.: "Tranilast Inhibits the Proliferation of Uterine Leiomyoma Cells in Vitro through G1 Arrest Associated with the Induction of p21(wafl) and p53"J Clin Endocrinol Metab. 87. 5610-5617 (2002)
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[Publications] Orii A: "Altered post-translational modification of redox factor 1 protein in human uterine smooth muscle tumors"J Clin Endocrinol Metab. 87. 3754-3759 (2002)
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[Publications] Hamid AA: "Cyclical change of hMSH2 protein expression in normal endometrium during the menstrual cycle and its overexpression in endometrial hyperplasia and sporadic endometrial carcinoma"Cancer. 94. 997-1005 (2002)
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[Publications] Higashitsuji Hisako, et al.: "A novel protein expressed in hepatoma accelerates export of NF-kB from the nucleus and inhibits p53-dependent apoptosis"Cancer Cell. 2. 532-537 (2002)
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[Publications] Kuragaki C: "Mutations in the STK11 Gene Characterize Minimal Deviation Adenocarcinoma of the Uterine Cervix"Lab Invest. 83. 35-45 (2003)