2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい遺伝性網膜疾患の分子遺伝学的、病態 生理学的研究
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13307048
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 養三 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30166136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 峰生 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80303642)
中村 誠 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60283438)
寺崎 浩子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40207478)
鈴木 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90314012)
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Keywords | 完全型 / 不全型 / 先天停止性夜盲 / APB / PDA / ON型双極細胞 / OFF型双極細胞 / ERG |
Research Abstract |
先天停止性夜盲(CSNB)の完全型は網膜双極細胞のON型の選択的完全機能欠落があること、不全型は網膜双極細胞のON型、OFF型の不完全な機能欠落があることがヒトの臨床例の電気生理学的検査から示唆されたので、本年はサルで薬物を用いて、この類似病態の作成を行った。使用した薬物は網膜の視細胞と双極細胞を結ぶシナップスの遮断剤でグルタミン酸代用物質であるAPBをON型双極細胞へのシナップスの選択的遮断に、PDAをOFF型双極細胞の選択的遮断に使用した。 APBを用いてON経路を遮断すると、完全型CSNB患者とまったく同様に、杆体系ERGは消失し、錐体系ERGは比較的良好な反応がえられ、強い閃光刺激による杆体・錐体混合反応はnegative ERGを示し、完全型CSNBのERG所見を示した。一方、APBとPDAでON, OFF型双極細胞へのシナップスを不完全に遮断すると不全型CSNBのERGに酷似したERGがあられた。 以上よりヒトERG所見、変異遺伝子の機能から想像された完全型、不全型CSNBの病態生理が薬物を用いたサルの実験により確認された。 総計90例(完全型49例、不全型41例)の自覚的視機能を検討した。視力は両型とも中等度の低下を示す症例が多く両者に有意差はみられなかった。屈折は完全型では高度近視が多くみられ、不全型は近視から遠視に隈無く分布した。色覚には両型ともに異常がみられなかった。 網膜全視野刺激のERGに比べ、自覚的視機能がよく保たれていたため、一部の症例で、黄斑部局所ERG記録を行った。その結果、全視野刺激ERGに比べ、黄斑部局所ERGはよく保全されており、完全型も不全型も黄斑部の病態は他の網膜とは異なり正常に近いことが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 三宅 養三: "新しい疾患概念の確立-先天停止性夜盲の完全型と不全型-"106. 737-756 (2002)
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[Publications] 三宅 養三: "黄斑部局所ERGでなにがわかる?"臨眼. 56. 680-688 (2002)
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[Publications] Nakamura M, Miyake Y: "Macular dystrophy in a 9-year-old boy with fundus albipunctatus"Am J Ophthalmol. 133. 278-280 (2002)
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[Publications] Nakamura M, Hotta Y, Piao CH, Kondo M, Terasaki H, Miyake Y: "Enhanced S-cone syndrome with subfoveal neovascularization."Am J Ophthalmol. 133. 575-577 (2002)
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[Publications] Nakamura M, Ito S, Terasaki H, Miyake Y: "Incomplete congenital stationary night blindness associated with symmetrical retinal atrophy"Am J Oplithalmol. 134. 463-465 (2002)
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[Publications] Terasaki H, Miyake Y, Suzuki T, Niwa T, Piao CH, Suzuki S, Nakamura M, Kondo M: "Change in full-field ERGs after macular translocation surgery with 360° retinotomy"Invest Ophthalmol Vis Sci. 43. 452-457 (2002)