2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜極前期の網膜内病態、その分子生物学的機序の解明
Project/Area Number |
13307049
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50194717)
西脇 弘一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303841)
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80252443)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / VEGF / アンジオテンシン / レプチン / AT1受容体 / スタチン / レニン-アンジオテンシン系 / LOLレセプター |
Research Abstract |
VEGFが糖尿病網膜症の発症にも重要な働きをしていることが強く示唆されており、本研究では虚血領域を形成していない糖尿病患者の網膜においてどのような分子機構によりVEGFの発現が亢進するのかを明らかにすることを目指した。白血球の内皮細胞への接着現象がVEGF発現亢進と相関することが知られているが我々の研究グループはLectin-like oxidized LDL receptor-1がこの接着現象に重要な機能を持つことを明らかにした(Proc Natl Acad Sci USA 2003)。また、stainがこのような接着現象を抑制する作用を持つことより初期網膜症治療に有用である可能性を見出しつつある(Arch Ophthalmol 2002)。一方、糖尿病患者での血中や硝子体内濃度が亢進しているレプチンの関与についても検討している。レプチンは血管新生因子でもあることが報告されたが、網膜血管にはレプチン受容体が顕著に発現しており、レプチンを欠損した遺伝性肥満マウス(ob/obマウス)及び野生型マウスをもちいて網膜血管新生への影響を検討した。ob/obマウスでは野生型マウスに比較して網膜血管増殖が抑制され、VEGF発現が抑制されていることを見出した。このような結果よりVEGF発現亢進にレプチンが関与する可能性が見出された(投稿中)。さらに我々はレニン-アンジオテンシン系の役割の検討を行った。アンジオテンシンは周皮細胞からVEGF分泌を促進するだけでなく、網膜内皮細胞ではVEGF受容体とAng2を選択的に増加させることを見出した(Diabetes 2001;50:867-875)。こうした作用はAT1受容体を主に介しており、アンジオテンシン系が初期網膜症におけるVEGF発現亢進の一つの制御因子となっている可能性が見出された。以上の研究よりLDL受容体やレプチン、アンジオテンシンなどの分子機構を制御することにより網膜初期病変を阻害することが出来る可能性が推測された。
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