2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳ニューロン・グリア細胞相関系のストレス応答機構に関する細胞分子生物学的研究
Project/Area Number |
13307064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 靖幸 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00034041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 雅幸 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (10322827)
上原 孝 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00261321)
大熊 康修 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20127939)
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Keywords | ニューロン / アストロサイト / 低酸素 / 脳虚血 / PDI / ユビキリン / アポトーシス / 小胞 |
Research Abstract |
私たちはこれまでに,低酸素/脳虚血ストレスによってアストロサイトで蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)が誘導されることを見い出してきた.PDIは脳虚血ストレスによるニューロン死に対して抑制的に働く細胞内ストレス抵抗因子として機能していることを明らかにした.そこで,今回PDIの抗細胞死作用を検討する目的で,酵母two-hybrid法を用いて相互作用する蛋白質の単離・同定とその作用について解析し,以下の知見を得た. 全長のHuman PDIをbaitにしたスクリーニングから,PDIに特異的に結合する蛋白質としてユビキリンを単離することに成功した.ユビキリンはPDIのC末側(推定上のCa2+結合領域)に結合することが明かとなった.さらにユビキリンは脳や心臓に多く発現していることがノーザンブロット解析から明かとなった.これまでにユビキリンはアルツハイマー病の原因遺伝子とされるプレセニリンに特異的に結合し,細胞質に多く存在する蛋白質として単離されてきた.そこでつぎに,抗ユビキリン抗体を作成し,ストレス負荷による発現変化と細胞内局在について解析した.アストロサイトに低酸素ストレスを負荷したところ,12時間後から著明なmRNAおよび蛋白質の発現上昇が認められた.また,免疫組織学的解析より,ユビキリンはPDIと共局在することがわかった.したがって,ストレス負荷によって誘導されるユビキリンは小胞体に局在することが示唆された.つぎに,ユビキリンをニューロンに強制発現させ,低酸素ストレスによるアポトーシスに対する影響を調べたところ,DNA断片化を顕著に抑制することが認められた.したがった,ストレスによって誘導される小胞体蛋白質ユビキリンはPDIと結合し,何らかの機構で抗細胞死活性を示すことが示唆された.現在,その詳細について解析中である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kitamura, Y., Kakimura, J., Koike, H., Umeki, M., Gebicke-Haerter P-J., Nomura, Y., Taniguchi T.: "Effects of 15-deoxy-Δ^<12,14> prostaglandin J_2 and interluekin-4 in Toll-like receptor-4-mutant glial cells"Europ. J. Pharmacol.. 411. 223-230 (2001)
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[Publications] Kakimura, J., Kitamura, Y., Takata, K., Kohno, Y, . Nomura, Y., Taniguchi, T.: "Release and aggregation of cytochrome c and α-synuclein are inhibited by the antiparkinsonian drugs, talipexole and pramipexole"Europ. J. Pharmacol.. 417. 59-67 (2001)
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[Publications] Kitamura, Y., Spleiss, O., Li, H., Taniguchi, T., Kimura, H., Nomura, Y., Gebicke-Haerter, P-J.: "Lipopolysaccharide-induced switch between retinoid receptor (RXR)α and glucocorticoid attenuated response gene (GARG) : sixteen messenger RNAs in cultured rat microglia"J. Neurosci. Res.. 64. 553-563 (2001)
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[Publications] Miyazaki, H., Nagashima, K., Okuma, Y., Nomura, Y.: "Expression of glial cell line-derived neurotrophic factor induced by transient forebrain ischemia in rats"Brain Res.. 922. 165-172 (2001)
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[Publications] Miyazaki, H., Nagashima, K., Okuma, Y., Nomura, Y.: "Expression of Ret receptor tyrosine kinase after transient forebrain ischemia is modulated by glial cell line-derived neurotrophic factor in rat hippocampus"Neurosci. Lett.. (in press).
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[Publications] Araya, R., Takahashi, R., Nomura, Y.: "Yeast two-hybrid using constitutive-active caspase-7 as bait in the identification of PA28γ as an effector caspase substrate"Cell Death Differ.. (in press).