2002 Fiscal Year Annual Research Report
心不全治療薬の新たなストラテジー:細胞内カルシウムシグナリング制御の分子機構
Project/Area Number |
13307065
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
長尾 拓 国立医薬品食品衛生研究所, 所長 (30217971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤羽 悟美 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00184185)
黒瀬 等 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (10183039)
川西 徹 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 部長 (40124383)
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Keywords | 活性酸素 / 酸化ストレス / G-タンパク質 / システイン / 興奮収縮連関 / カルシウムシグナリング / カルシウムチャネル / リアノジン受容体 |
Research Abstract |
心不全の効果的治療法の開発につながる心筋興奮収縮連関の分子機構解明に関する以下の研究を行った。 1)膜電位依存性Ca^<2+>チャネルの開閉機構およびその制御の分子機構を明らかにする目的でDHPCa^<2+>チャネルアゴニストの結合部位を探索し、L型Ca^<2+>チャネルα_<1C>サブユニットIIIS5-S6間のチャネルポア領域にDHP系カルシウム拮抗薬およびCa^<2+>アゴニストの結合に重要な役割を果たす2つのアミノ酸(Ser^<1115>とPhe^<1112>)を同定した。両アミノ酸を欠く改変Ca^<2+>チャネルはカルシウム拮抗薬・Ca^<2+>チャネルアゴニストの区別がつかなくなりいずれによっても遮断された。以上の結果をもとにCa^<2+>チャネルのポア領域へのDHP結合によりCa^<2+>チャネルのゲーティング機構が修飾されるという新たなモデルを提唱した。 2)心筋興奮収縮連関におけるNa^+-Ca^<2+>交換体の生理的役割を明らかにする目的でNa^+-Ca^<2+>交換体ノックアウトマウス心室筋細胞のCa^<2+>シグナリングを解析し、Na^+-Ca^<2+>交換体のCa^<2+>汲み出し機構がCa^<2+>ストアのCa^<2+>貯蔵量の制御に重要であることを見出した。また、筋小胞体からのCa^<2+>依存性Ca^<2+>放出によるCa^<2+>チャネルのCa^<2+>依存性不活性化機構は、活動電位幅を決定することにより活動電位中に細胞内へ流入するCa^<2+>量を制御する事を見いだし、Ca^<2+>チャネルは筋小胞体のCa^<2+>貯蔵量を制御するセンサーとしての役割を担うことを明らかにした。 3)比較的大量の活性酸素が三量体Gタンパク質のG_i/G_oを活性化し、遊離されたGβγが下流のMAPK/ERKを活性化し心筋保護的に働くことを報告した。そこで活性酸素により修飾されるアミノ酸の同定を試み、Gα_iの活性化には287番目と326番目のシステインがともに修飾されることが必要であることを示した。次に、受容体刺激によって発生した活性酸素がGタンパク質を活性化できるかを検討し、新生仔心室筋細胞をアンジオテンシンIIで刺激するとERKを含むMAPKが活性化され、活性酸素の発生も観察された。しかし、この活性酸素によっては3種のMAPKのうちJNKのみが活性化されていた。この結果は、受容体刺激によって生じる活性酸素量はGタンパク質を活性化するほど多くないことを、また受容体刺激によって生じた活性酸素は特定のシグナリング経路を活性化してMAPK(JNK)の活性化を引き起こし、メディエーターとしても働くことを示している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Arai K.et al.: "Differential requirement of Gα_<12>, Gα_<13>, Gα_q, and G_<βγ> for endothelin-1-induced c-Jun NH_2-terminal kinase and extracellular signal-regulated kinase activation"Mol. Pharmacol.. 63:(3). 478-488 (2003)
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[Publications] Hagiwara M. et al.: "High affinity binding of [^3H]DTZ323 to the diltiazem-binding site of L-type Ca^<2+> channels"Eur. J. Pharmacol.. (in press). (2003)
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[Publications] Maruyama Y. et al.: "Gα_<12> mediates α_1-adrenergic receptor-induced cardiac hypertrophy"Circ. Res.. 91:(10). 961-969 (2002)
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[Publications] Futagawa H. et al.: "A carbamate-type cholinesterase inhibitor, 2-sec-butylphenyl N-methylcarbamate insecticide (BPMC) blocks L-type Ca^<2+> in guinea-pig ventricular myocytes"Jpn. J. Pharmacol.. 90:(12). 12-20 (2002)
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[Publications] Sugimoto Y. et al.: "β_1-selective agonist (-)-1-(3,4-dimethoxyphenetylamino)-3-(3,4-dihydroxy)-2-propanol[(-)-RO363] differentially interacts with key amino acids responsible for β_1-selective binding in resting and active states"J. Pharmacol. Exp. Ther.. 301:(1). 51-58 (2002)
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[Publications] Isogaya M. et al.: "Enhanced cAMP response of naturally occurring mutant of human β_3-adrenergic receptor"Jp. J. Pharmacol.. 88:(3). 314-318 (2002)
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[Publications] Tanaka H. et al.: "Effect of manganese on guinea pig ventricle. Initial depression and late augumentation of contractile force"Biol. Pharm. Bulletin. 25. 323-326 (2002)
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[Publications] Tanaka H. et al.: "Possible Involvement of prostaglandins F_2α and D_2 In acetylcholine-induced positive Inotropy In Isolated mouse left atria"Pharmacology. (In press).