2003 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場下非中性プラズマを用いた多粒子系の緩和過程に関する制御実験
Project/Area Number |
13308021
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
際本 泰士 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (50018040)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 純義 筑波大学, 物理学系, 助教授 (70184215)
早川 尚男 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90222223)
田中 仁 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (90183863)
道下 敏則 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (00166050)
湯山 哲守 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (90026815)
|
Keywords | 純電子プラズマ / 非中性プラズマ / 渦運動 / 自己組織化 / 長距離相関多体系の緩和 / 熱平衡プラズマ |
Research Abstract |
本計画の主要課題である強磁場下で閉じ込められたプラズマの生成と制御については,いくつかの問題点を克服しつつ,500秒の閉じ込め時間と渦運動で形成される微細な構造の観測を達成した.具体的には:純電子プラズマを閉じ込めるトラップを組み上げて初期特性を確認するところまでは平成14年度末に到達していた.これを受けて,最大2.2テスラの強磁場中で動的に変化する電子密度分を高い分解能で計測する実験基盤の確立が急務であった.計測と強磁場を両立させるため,高感度CCDカメラを弱磁場位置に移動して,そこまで電子数の2次元分布を輝度分布に変換した画像データを歪み無くかつ明るく伝送する光学系を設計・製作した.この結果,電子密度分布を512x512のピクセルに分解して(実空間分解能0.1mm)10:60000の線形的強度比で鮮明に得ることに成功した.この成果は修士論文としてまとめられ,欧文誌(Rev.Sci.Instrum.)に投稿した.空間分解能はCCDのピクセル数で制限されているので,将来25ミクロン以下まで分解能を高めることが可能である.純電子プラズマの制御技術を工夫することにより,弱磁場の場合より遥かに長い時間スケールで渦糸の巻き込み・合体が進行し,かつ空間分布にはこれまでに無い微細な構造が見えるようになった.渦運動の時間化は平衡到達時間の延長を意味する.一方において,物理的に有意な時間帯は残留ガスとプラズマの衝突で制限される.37本の渦糸を生成する現在のカソード配位は,真空排気能力を妨げており,閉じ込めに対する残留ガスの悪影響が60秒程度で現れることが判った.Penning平衡配位を課して,閉じ込め時間を500秒まで伸ばすことができたが,本装置で熱平衡の物理まで扱うには,カソードアレイを小型化して残留ガス圧を10^{-10}Torrまで下げることが望ましく,改善の作業に入っている. 新装置の研究と併行させて既設の弱磁場装置では渦結晶の素過程である,合体と近接分離の分岐条件(Phys.Plasmas 2003に掲載)と,渦糸配位の対称化への背景渦度分布の寄与(Phys.Rev.2003に掲載)について検討を深めて,それぞれ新しい知見を得ることができた.後者については博士学位論文(三瓶)の一部となった.更に回転波動の存在下において非中性プラズマはさまざまな反作用を示しながら鋭い密度分布に至ることを観測しており,Toki Conferenceにおいて報告した.これら弱磁場の実験で得られた物理過程は有限ラーモア半径に起因する実効的散逸で構造の微細化が制限されている.改善後の強磁場プラズマにおいては,これらの新しい成果を更に深く検討する計画である.
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Y.Kiwamoto, A.Mohri, M.Fujiwara: "Equilibrium Density Distribution of a Two-Species Plasma with a Single Sign of Charge"J.Phys.Soc.Jpn.. Vol.73,No.1. 102-106 (2004)
-
[Publications] 際本泰士: "非中性プラズマ科学への期待"プラズマ・核融合学会誌. Vol.79,No12. 1249-1258 (2003)
-
[Publications] Y.Soga, Y.Kiwamoto, A.Sanpei, J.Aoki: "Merger and binary structure formation of two discrete vortices in a background vorticity distribution of a pure electron plasma"Phys.Plasmas. Vol.10,No.10. 3922-3926 (2003)
-
[Publications] Akio Sanpei, Y.Kiwamoto, K.Ito, Y.Soga: "Formation of a Vortex Crystal Cell Assisted by a Background Vorticity Distribution"Phys.Rev.E.. Vol.68,No.1-2. 016404 (2003)
-
[Publications] Y.Yatsuyanagi, Y.Kiwamoto, T.Ebisuzaki, T.Hatori, T.Kato: "Simulations of diocotron instability using a special-purpose computer, MDGRAPE-2"Phys.Plasmas. Vol.10,No.8. 3188-3195 (2003)
-
[Publications] Y.Kiwamoto, A.Sanpei, Y.Soga, J.Aoki, Y.Yatsuyanagi, T.Ozawa: "Critical Contribution of Low-Density Background Particles in the Formation of Ordered Structures in a Pure Electron Plasma"J.Plasma and Fusion Research SERIES. Vol.6. (2004)
-
[Publications] 際本泰士: "「プラズマの生成と診断」の中で7・3節「非中性プラズマ」を分担"コロナ社(プラズマ核融合学会編). 433-440 (2004)