2004 Fiscal Year Annual Research Report
照射誘起延性向上を活用したタングステンの照射脆化の改善
Project/Area Number |
13308022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50112298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 賢彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30375109)
平岡 裕 岡山理科大学, 理学研究科, 教授 (70228774)
瀧田 朋広 (株)アライドテック, 主査
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Keywords | 分散粒子 / 結晶粒 / メカニカルアロイング / 中性子照射 / 照射脆化 / 室温延性 / 組織制御 / シンク密度 |
Research Abstract |
タングステン(W)の大きな課題である照射脆化を改善するためには、微細結晶粒・遷移金属炭化物ナノ粒子分散組織を導入することが有効であり、この組織導入において最も重要となるのがナノ分散粒子の制御、すなわち、分散粒子の性状、数密度、分布、サイズの制御である。照射誘起延性向上の発現に密接に関連するからである。そこで本研究では、従来の粉末冶金製造法の限界に挑戦して分散粒子の制御を可能とする新しい組織制御法を考案し、その方法を用いて結晶粒径が0.1〜0.15μmと極めて微細で、相対密度が約99%の超微細結晶粒・遷移金属炭化物ナノ粒子分散組織をもつ高密度焼結体を試作した。このように高密度で超微細結晶粒をもつW合金が得られたのは本研究が初めてである。また、試作合金のHIP状態(焼結後に塑性加工を施さない状態)における室温での3点曲げ破壊強度は0.8〜2GPaの範囲でばらついたので、ばらつきの原因を検討し、常に約2GPaの曲げ強度を有するW合金の製造方法を確立した。一方、前年度に試作した結晶粒径が約0.9μmの微細結晶粒・TiC粒子分散W合金について、材料試験炉(JMTR)により高速中性子を照射し(290℃,9×10^<23>n/cm^2)、照射による機械的性質と微細組織の変化を調べた。市販の純W応力除去処理材と比較した結果、試作合金は照射硬化(照射脆化の主因)が純Wの約1/2と非常に少なく耐照射脆化特性に優れていることが確認された。照射硬化は照射により形成された直径数nmの転位ループに起因し、試作合金では転位ループの数密度が低かったことから、試作合金の優れた耐照射脆化特性は、主にその高いシンク密度により転位ループ形成が抑制されたことによる。また、粒界付近約100nmの範囲では照射欠陥が存在しないdenuded zoneが観察されたことから、上述の超微細結晶粒(0.1〜0.15μm)をもつ試作合金は、さらに優れた耐照射脆化特性を示すものと期待される。
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Research Products
(3 results)