2002 Fiscal Year Annual Research Report
病原性・非病原性SHIVの体内増殖部位と組織病理の比較-HIVの体内プールの検出
Project/Area Number |
13308049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊吹 謙太郎 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (00273524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 智行 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (40202337)
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
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Keywords | SHIV / サル個体レベルの病態 / 体内増殖部位 / AIDS発症・非発症 |
Research Abstract |
本研究では病原性、非病原性SHIVの感染後の体内定着・増殖部位と組織病理学的変化を比較解析し、そこからその病態形成の違いが何に起因しているものなのかを明らかにすることを目的としている。今年度は、感染後約半年で脳症を伴うAIDSを引き起こす特徴を持つ病原性SHIVであるSHIV(ku-2)をアカゲザルに感染させ、感染初期(感染後6週)およびAIDS発症期(26週)における、脳、腸管を含む全身臓器におけるプロウイルスDNAの定量(Taqman PCR)および感染性ウイルス量(プラークアッセイ)を調べることにより、ウイルスの感染部位と実際の増殖部位の相違を明らかにし、さらに病態との関連を比較検討した。プロウイルスDNA量は、調べた何れの臓器においても感染初期に比べるとAIDS発症期で高くなっており(10〜10^2倍)、特に脳では10^4倍高くなっていることがわかった。一方、感染性ウイルス量については、AIDS発症期における腸間膜リンパ節で感染初期と比べて10倍以上の感染性ウイルスクローンが分離され(プラーク形成が認められ)、脳でもAIDS発症期でのみ感染性ウイルスクローンが分離された。以上のことから、ウィルス感染後6週目には既に脳を含む全身にウィルスは拡がっていること、AIDS発症期では、主要なウイルス増殖部位は腸管であり、脳でもウイルスが増殖していることが明らかとなった。また、得られたプロウイルスDNAと感染性ウイルスのenv遺伝子の解析をおこなったところ、AIDS発症期ではリンパ系臓器においてはバリエーションに富んだウイルスポピュレーションとなっていたが、脳に存在するウイルスは接種ウイルスと同じ配列を持つものばかりであることがわかった。このことから脳では感染初期にウイルスは侵入するものの増殖できず、AIDS発症期になって増殖をする事が考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shimada T, Ibuki K, Fukumoto M, Miura T, Hayami M. et al.: "Comparative histopathological studies in the early stages of acute pathogenic and nonpathogenic SHIV-infected lymphoid organs"Virology. 306(2). 334-346 (2003)
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[Publications] Haga T, Shimizu Y, Hayami M, Miura T. et al.: "Construction and in vitro properties of chimeric simian and human immunodeficiency virus with the human TNF-alpha gene"Microbiol.Immunol.. 46(12). 849-855 (2002)
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[Publications] Enose Y, Ui M, Miyake A, Miura T, Hayami M. et al.: "Protection by intranasal immunization of a nef-deleted, nonpathogenic SHIV against intravaginal challenge with a heterologous pathogenic SHIV"Virology. 298(2). 306-316 (2002)
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[Publications] Kuwata T, Takemura T, Takehisa J, Miura T., Hayami M.: "Infection of macaques with chimeric simian and human immunodeficiency viruses containing Env from subtype F"Arch Virol.. 147(6). 1121-1132 (2002)
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[Publications] Kwofie TB, Miura T, Ibuki K, Ui M, Kuwata T, Hayami M. et al.: "Characterization of simian and human immunodeficiency chimeric viruses re-isolated from vaccinated macaque monkeys after challenge infection"Arch Virol.. 147(6). 1091-1104 (2001)