2002 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線による突然変異マウスを用いた細胞分化制御関連遺伝子の探索
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13308051
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉木 淳 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任研究員 (40212310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岩 典子 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任技師(研究職) (30200380)
野呂 知加子 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任技師(研究職) (80311356)
池 郁生 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任研究員 (40183157)
矢野 安重 理化学研究所, 加速器基盤研究部, 基盤研究部長
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Keywords | 重粒子線 / 生殖細胞 / ミュータジェネシス / 胚発生 / 体外受精 / 発ガン感受性 / RAPD |
Research Abstract |
1.重粒子線照射雄マウスの繁殖成績、重粒子線照射雄マウスより採取した精子の受精能力、さらに、体外受精後の胚の発生能を検討した。カーボン、ネオン、チッソでそれぞれ1から5Gyの照射を行った。その結果、重粒子線照射は雄の妊性、産仔数に顕著な影響を与えた。精巣組織における生殖細胞の障害を免疫組織学的手法により解析したところ、重粒子線照射の生殖細胞に対する障害は線量依存的に増加し、照射後2から5週にかけて生殖細胞の著しい減少が観察され、5から10週にかけて生殖細胞数の回復が認められた。障害程度は線種により異なり、ネオンイオンの影響が著しかった。照射したC3Hの雄精子を採取して凍結保存した。融解後の精子を用いて体外受精を行ったところ受精率および、受精卵発生率の低下が見られ、形態異常を示す胚が観察された。形態的に正常な胚を仮親に移植した後の胎児発生に関しても照射群で明らかに異常胚が多く、重粒子線照射が優性致死突然変異を誘発していることが示された。本年度は照射雄から採取した凍結融解精子を用いた体外受精により胎児の作出を異常胚を検索した。 2.昨年度に引き続き1.で得られた異常胚の形態異常に関連した遺伝子群をcDNA subtraction libraryを作製して解析した。 3.Random Amplified Polymorphic DNA検出法によりB6,C3H, MSM等の代表的系統のバンドパターンを解析し一部塩基配列の決定を行った。次年度に本方法を上記で得られた変異マウスと対照個体との比較に応用し変異遺伝子の同定を行う。さらに、重粒子線照射雄マウスを用いて発ガン感受性遺伝子の変更因子を検出する実験系に付いても検討を開始し、MITマーカーを用いたゲノム欠失領域の検索を行った。253匹のF1マウスを検索して1匹において染色体領域の欠失を検出した。
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