2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト冷戦期の平和と安全保障のための国際公共財〜国際社会にいかにして新しい秩序をもたらすのか〜
Project/Area Number |
13309010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 和男 京都大学, 経済学研究科, 教授 (40182753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井堀 利宏 東京大学, 経済学研究科, 教授 (40145652)
鈴木 基史 京都大学, 法学研究科, 教授 (00278780)
竹内 俊隆 大阪外国語大学, 国際関係学科, 教授 (60206951)
瀬島 誠 大阪国際大学, 法政経学部, 助教授 (60258093)
藤本 茂 防衛大学, 公共政策学科, 助教授
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Keywords | 国際公共財 / ポスト冷戦期 / 国際秩序 / 複雑系 / コンピュータシミュレーション / 分散並列オブジェクトモデル / 公共財の自発的供給 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、冷戦後の国際関係において、新たな秩序をどのように構築すべきかを明らかにすることである。本研究は、現実的な政策的要請と理論的な関心の双方に依拠した、経済学、政治学、情報学、複雑系科学などの諸分野にまたがる学際的な研究という点にその大きな特色を有する。本年度は科学研究費補助金に基づく4年間に及ぶ研究の総括の年であり,最終報告書作成に向けた作業を中心に行った。理論モデルの分野においては、公共財理論を専門とする沖縄大学の藤澤宜広助教授を加え、公共財の自発的な供給メカニズムに基づき最終的なまとめを行った。事例研究では、最終的な問題として、国際協定遵守問題に取り組んだ。シミュレーション分野においては、ネットワーク分散並列型のシミュレーション・モデルをさらに発展させた上で、外交と軍事の分野を中心に、国際システムにおける秩序の生成プロセスを分析する試みが行われた。そこでは、各国は自律的なエージェントしてモデル化され、各国内部には外交関係の省と軍事問題の省が作られた。さらには各省内部には、機能によって更に幾つもの部局が設けられた。各国に文化や戦略パタンなどの様々な変数をパラメタとして与えることにより国際秩序生成の条件を探るシミュレーション実験が試みられた。更に本年度は、ニューヨーク、ピッツバーグ、ボストン、ハワイなどにおいてこれまでの研究成果を紹介し、今後の研究協力発展のための調整が行われた。特筆すべきは国際公共財研究に取り組む国連開発計画(UNDP)との間でシミュレーションを中心に今後研究協力を進めてゆくための話し合いが行われたことである。また、これまでのシミュレーション研究を基礎にしてより現実的な政策実験シミュレーションと行うという我々の将来構想が訪問先各地で大きな関心を惹起したのは、本研究の研究成果と今後の研究計画についての高い評価を示すものであった。
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Research Products
(10 results)