2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13309012
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
若月 利之 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (50127156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 晃 藤井基礎設計, 研究員
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (10325045)
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Keywords | 土壌有機物 / 有機物現存量 / 有機物循環速度 / バイオジオフィルター / 土壌トレンチ法 / 多段土壌層法 / 浄化機能の極限値 / 土壌圏の生態工学 |
Research Abstract |
(1)自然界の土壌中における有機物の現存量(t/ha)と循環速度(t/ha/y)の範囲:1mの深度の1ha当たりの土壌のC:N:Pの現存量は、泥炭土で1200:30:3、黒ボク土で1000:50:25、日本の平均的水田土壌で200:20:10t/ha、陸上生態系の光合成能力(0-30t/ha/y)から推定される循環速度は概略C:N:P=9:0.37:0.03t/ha/y、砂糖キビでは、C:N:P=50:<1.7:<0.2t/ha/y、野菜や茶園ではC:N:P=<25:1:0.2t/ha/y程度の循環速度である。この循環速度(負荷速度)でも地下水深刻な環境問題を引き起こしている。 (2)自然土壌や植物生態系の環境浄化機能の大きさ:自然土壌の機能をそのまま利用する欧米のセピテックタンクー土壌トレンチ法の場合、循環速度(浄化速度)はC:N:P=80:6:4t/ha/y、植物浄化システムのビオパークやバイオジオフィルター方式ではC:N:P=55:11:1t/ha/y程度までの浄化能力がある。 (3)多段土壌層法による土壌の環境浄化機能の極限値の推定:これまで実現できた土壌の環境浄化機能の持続的な最大値はC:N:P=2400:240:30t/ha/y(660:66:8g/m2/日)であり、改良により極限値はC:N:P=4000:400:40t/ha/y程度と推定され、汚染が深刻な茶園等の循環速度の100倍の極限値である。 (4)土壌圏の生態工学の可能性:土壌の環境浄化機能の中心となる生物活性は多様な微生物群の共生コンソーシアとして発揮されている。多段土壌層法では、このような土壌の物理化学性も含めた総体としての環境浄化機能を活性化し、その極限値を探ることを可能にする。多段土壌層法により明らかにされた、土壌の有機物分解浄化機能の極限値は生物生産(支持)機能に比べて、何故このように格段に大きいのであろうか?その生態学的意義は何か?土壌肥科学が「かつて」生物生産機能の向上に果したように、地球環境問題解決のために必要な、土壌の環境浄化機能の理解とその利用に関わる未開拓の研究開発分野が存在する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Luanmanee, S., T.Wakatsuki他: "The efficiency of a multi-soil-layering system on domestic waste water treatment during the ninth and tenth years of operation"Ecological Engineering. 18(2). 185-200 (2001)
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[Publications] 増永二之, 若月利之他: "多段土壌層法による環境水質改善技術の開発-汚濁河川水の直接浄化"用水と廃水. 43(12). 1033-1040 (2001)
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[Publications] 増永二之, 若月利之他: "多段土壌層法によるシマジン,フェニトロチオン,チプロパミド,テトラプロエチレンの除去に関する研究"水環境学会誌. 25(4)(発表予定). (2002)
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[Publications] 佐藤邦明, 若月利之他: "多段土壌層法による生物系排水処理-モデル装置の送気位置の違いによる処理能力の比較"水環境学会誌. 25(4)(発表予定). (2002)
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[Publications] Luanmanee, S., T.Wakatuki他: "Effect of Organic Components and Aeration Regimes on the Efficiency of a Multi-Soil-Layering System for Domestic Waste water"Soil Science and Plant Nutrition. 48(3)(発表予定). (2002)
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[Publications] Luanmanee, S., T.Wakatuki他: "Effect of aeration on the efficiency of the multi-soil-layering system for Cafeteria waste water at kasetsart University"Ecological Engineering. 19(1)(発表予定). (2002)