2002 Fiscal Year Annual Research Report
超高真空封止型赤外顕微鏡の開発と固体物理へ利用研究
Project/Area Number |
13354003
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
難波 孝夫 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30091721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 英一 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (00273756)
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Keywords | 赤外顕微鏡 / 超高真空顕微鏡 / 高圧下赤外分光法 |
Research Abstract |
本研究は「超高真空封止型赤外顕微鏡」を開発することを第一目標にしている。「超高真空封止型赤外顕微鏡」とは観測試料と共に顕微鏡の機能全てを超高真空中チャンバー内に格納し、外部からこれを操作するという全く新しい機能を備えた顕微鏡をさし、その性能としては可視から赤外・遠赤外域までの広い波長領域をカバー出来るという他に見られない長所を備えた顕微鏡である。昨年度の設計に引き続き、本年度の目的はこの顕微鏡の建設と性能評価を行うことであった。 本研究では今年度以下の研究を行なって成果を得た。 [1]設計製作後に納入された超高真空封止型赤外顕微鏡の組立てとその性能評価。 満たすべき性能のキーポイントは以下の如し。 ・顕微鏡の機能全てを超高真空(UHV)チャンバー内に格納し、外部からこれを操作出来る構造を確認した。到達真空度は10^<-7>Torr(更にベーキングなどによりこれを10^<-8>Toorに高めることを試行中) ・顕微鏡と接続した赤外干渉計により赤外スペクトルの観測。予定通り、十分な強度を持ったスペクトルを観測し、顕微鏡が400-10,000cm^<-1>の赤外-近赤外領域をカバーすることを確認した。 ・標準試料としてその反射率が既知の結晶水晶の反射スペクトルの測定に成功。 ・顕微鏡の試料設定位置での空間分解能の測定。赤外領域で空間分解能0.1mm^2を達成。 以上の様に今年度は顕微鏡の建設と性能検査を行い、新しい思想のもとに設計した「超高真空封止型赤外顕微鏡」が目的通り、初期の性能を発揮することを実証し、その成果を16回日本放射光学会年会(姫路)にて講演発表した。 [2]次年度(H15)に本顕微鏡を用いた固体物理での利用実験を予定しているので、それに相応しい試料の赤外スペクトルの観測を行った。その例として圧力下で価数揺動状態を経て金属相から絶縁相に変化するYbS結晶の圧力下赤外スペクトルの予備的観測に成功した。
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Research Products
(1 results)