2002 Fiscal Year Annual Research Report
凝ギャップ内にフェルミ準位を持つ物質群を用いた新しい熱電材料の創成
Project/Area Number |
13355024
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水谷 宇一郎 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00072679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
琵琶 哲志 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50314034)
竹内 恒博 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 講師 (00293655)
生田 博志 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (30231129)
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Keywords | ゼーベック係数 / 擬ギャップ系 / Co酸化物 / 準結晶 / 近似結晶 / Fe_2VAl |
Research Abstract |
エネルギー問題を解決する有力な方法として高効率熱電変換材料の開発に期待が寄せられている。熱電変換材料の効率を上げる最大因子であるゼーベック係数は、フェルミレベル近傍の電子状態により決定される。熱電変換材料に望まれる大きなゼーベック係数を得る為には、緩和時間近似により電子輸送現象が記述され、かつ、等方的な構造を有するという条件下において、フェルミレベルにおける電子状態密度の傾きが大きく、その絶対値が小さいことが必須条件であると考えられる。本研究では、上記の条件を満たす擬ギャップ系材料を用いて熱電変換材料の開発研究を行った。 Co酸化物、Fe_2VAl、 Al-Re-Sil/l-立方近似結晶のいずれの材料においても、実用化の目安となる無次元性能指数ZT〜1.0を達成した。Al-Re-Sil/l-立方近似結晶では、構造解析を行い正確な結晶構造を決定し、その構造データを用いて電子構造を計算した。さらに、得られた電子構造を用いて、ゼーベック係数を解析した。その結果、温度依存性まで含め、定量的にゼーベック係数を評価することに成功した。また、高分解能角度分解光電子分光により決定した電子構造を用いて、銅酸化物のゼーベック係数を算出した結果、Al-Re-Sil/l-立方近似結晶の場合と同様に、測定値を温度依存性も含めて見事に再現することを明らかにした。我々が用いた評価方法は、金属伝導を示す材料に一般的に適応可能であり、電子構造の観点から高効率熱電変換材料を設計する全く新しい手法を確立したと考えている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Takeuchi: "Investigation of the Hume-Rothery stabilization mechanism from ab inito band caluculations for different electron compounds Cu5Zn8, Al-Mg-Zn, and Al-Cu-Ru-Si"Journal of Alloys.and Compounds. 342. 355-359 (2002)
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[Publications] T.Takeuchi: "Interpretation of high electrical resistivity behavior based on structure determination of the Al-Cu-(Fe, Ru)-Si 1/ 1-cubic approximants"Journal of Alloys and Compounds. 342. 416-421 (2002)
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[Publications] T.Onogi: "Atomic and electronic structure determination for a series of Al-Re-Si MI-type 1/1-cubic approximants"Journal of Alloys and Compounds. 342. 397-401 (2002)
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[Publications] 松浦 仁: "擬ギャップ系Fe_2VAl合金の熱電特性に及ぼす元素置換効果"日本金属学会誌. 66・7. 767-771 (2002)
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[Publications] 舟橋 良次: "Co系長尺酸化物ウイスカーの成長と熱電特性"粉末及び粉体冶金協会. 49. 393-397 (2002)