2001 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸オキシダーゼを指標とした遺伝的乳房炎罹患形質判定法の開発
Project/Area Number |
13356006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 仙吉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80114487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甫立 孝一 (独)畜産草地研究所, 生理部, 室長(研究職)
伊藤 喜久治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50100045)
澤崎 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00012047)
青木 不学 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20175160)
今川 和彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00291956)
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Keywords | L-アミノ酸オキシダーゼ / 乳蛋白質 / 乳房炎 / 基質特異性 / ミルク中の遊離アミノ酸 / 過酸化水素 / 細菌毒性 |
Research Abstract |
実験には泌乳8日のマウスから得たミルクを使用した。L-アミノ酸オキシダーゼは特定のアミノ酸を分解し、過酸化水素、アンモニア。ケト酸を産生する。本研究では、過酸化水素の発生を指標としてL-アミノ酸オキシダーゼの精製と酵素学的解析を行った。 L-アミノ酸オキシダーゼの基質となるアミノ酸は主としてフェニールアラニン、メチオニン、チロシン、シスチン、ロイシン、ヒスチジンなどであり、グリシン、アラニン、セリン、グルタミンなどは全く分解されなかった。同時に分解を受けるアミノ酸でも分解速度に違いが見られた。分解の有無と分解速度からアミノ酸含量に違いが生じるはずであるが、この予測に適合してアミノ酸のアンバランスが認められた。L-アミノ酸オキシダーゼはミルク中では分子量約11万であったが、変性すると約6万となったことから2量体として存在した。イオン交換クロマトでは3種類のアイソフォームとして検出され、電気的性質が異なっていた。ゲルろ過とイオン交換クロマトを併用して均一な蛋白質として精製した。精製したレアミノ酸オキシダーゼを用いてN末端のアミノ酸配列と断片化したペプチドを用いてアミノ酸配列を調べた結果、N末端とC末端のアミノ酸配列を決定することができた。L-アミノ酸オキシダーゼ内部の4ヵ所のアミノ酸配列も決定した。 ミルク中に存在するL-アミノ酸オキシダーゼは、ミルクに含まれる遊離アミノ酸を分解して細菌に毒性を持つ過酸化水素を発生する。これが乳房内で細菌が増殖できない機構、つまり乳房炎を防ぐ機構である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kuraishi, T., Mizoguchi, Y., Sun, Y., Sakai, S 他: "The casein mRNA decay changes in parallel with the polly(A) tail length in the mouse mammary gland"Molecular and Cellular Endocrinology. (印刷中). (2002)
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[Publications] Sun, Y., Nonobe, E., Acki, F., Sakai, S 他: "Characterization and expression of L-amino acid oxidase of mouse milk"Journal of Biological Chemistry. (印刷中). (2002)
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[Publications] Sun, Y., Kuraishi, T., Aoki, F., Sakai, S: "Hormonal regulation of mitochondrial Tim23 gene expression in the mouse mammary gland"Molecular and Cellular Endocrinology. 172. 177-184 (2001)
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[Publications] Yoneda, M., Shiraishi, J., Kuraishi, T., Sakai, S 他: "Gastric proteinase digestion of caseins in new born pups of the mouse"Journal of Dairy Science. 84. 1851-1855 (2001)
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[Publications] Fuchimoto D, Mizukoshi A, Sakai S, Aoki, F.: "Posttranscriptional regulation of cyclin A1 and cyclin A2 during mouse oocyte meiotic maturation and preimplantation"Developmental Biol. ogy and Reproduction. 65. 986-993 (2001)
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[Publications] Hara, K., Sakai S., Nagata M., Aoki F: "Expression of protein tyrosine phosphatases in the preimplantation mouse embryos"Animal Science Journal. 72. 404-409 (2001)
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[Publications] 森田琢磨, 酒井仙吉, 唐澤 豊, 近藤誠司: ""家畜"のサイエンス"文永堂出版. 189 (2002)