2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト抗体産生マウスを用いた特定染色体領域から発現する遺伝子産物に対する抗体の作製
Project/Area Number |
13357004
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
押村 光雄 鳥取大学, 医学部, 教授 (20111619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富塚 一磨 (株)キリンビール, 医薬探索研究所, 部長補佐
白吉 安昭 鳥取大学, 医学部, 助教授 (90249946)
林 眞一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50208617)
目黒 牧子 鳥取大学, 医学部, 教務職員 (20304222)
加藤 基伸 鳥取大学, 医学部, 助手 (00273904)
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Keywords | ヒト抗体産生マウス / 微小核細胞融合法 / ヒト染色体 / ヒト抗体ライブラリー / ヒトメラノーマ特異的抗体 / ヒト染色体特異的抗体 / ヒト細胞表面抗原 / がん診断・治療 |
Research Abstract |
(1)ヒト抗体遺伝子導入により作出したヒト抗体産生マウスへヒト6番および22番染色体を各々保持するマウスメラノーマ細胞株B16-F10細胞を免疫源として皮下与した。ヒトメラノーマ細胞に対して高い反応性を示した1クローンずつ[#6(L6-2/7-9-4),#22(14-9)]を選択後、7種類のヒトメラノーマ細胞と13種類20のがん細胞株および2種類5つの正常細胞について詳細な抗体の反応性を解析した。#6(L6-2/7-9-4)では、5/7の割合でヒトメラノーマ細胞および2つの正常ヒト線維芽細胞に対して非常に高い反応を示した。他のがん細胞では、顕著な反応性を示すものは認められなかった。一方、#22(14-9)では、メラノーマ細胞を含めた全ての細胞で大きな変化は認められなかった。以上のことから、#6(L6-2/7-9-4)は、ヒトメラノーマ細胞の細胞表面抗原に対する特異的な抗体の可能性が示唆された。今後は、反応を示した正常線維芽細胞の検索数を増やすとともに、メラノーマを中心に組織を用いた免疫染色からこの抗体の有用性およびその抗原決定について検討する。 (2)これまでヒトメラノーマ特異的なIgMモノクローナル抗体を単離したが、IgG抗体は得られていない。IgG抗体は、IgM抗体に比べ特異性と親和性が高く抗原決定をはじめタンパク質の効率的な機能解析に必要である。本年度においては、IgG抗体を作製するためにヒト22番染色体を保持するマウスメラノーマ細胞を免疫源にして詳細な条件検討を行った。その結果、マイトマイシンC処理による細胞増殖抑制法を用いることで、C57BL/6においてヒト細胞の膜表面分子に特異的なIgG抗体の産生が誘導できることを明らかにした。また、免疫されたこれらのマウスから、ヒトメラノーマ細胞の膜表面に結合する2種類のモノクローナルIgG抗体を取得し、抗原決定や抗体の特異性についての解析を進めている。 本年度における成果は、ヒト染色体保持マウス細胞を免疫源とすることにより、比較的に容易にヒト膜タンパク質特異的モノクローナル抗体の作製が示され、抗体医薬における高機能抗体作製の手法として染色体移入細胞の高い有効性が示唆された。
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