2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13357016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健二 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (40091326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡元 邦彰 長崎大学, 歯学部, 助教授 (10311846)
筑波 知子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (70336080)
筑波 隆幸 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (30264055)
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Keywords | 歯周病 / ジンジバリス菌 / 病原性因子 / プロテアーゼ / ジンジパイン / 特異的阻害剤 / 歯周病治療薬 |
Research Abstract |
歯周病は成人における歯牙喪失の主因であり、成人の罹患率が40%以上にも達する、いわば国民病の一つである。本疾患は歯周局所の常在微生物によって惹起される感染症であるが、なかでもグラム陰性嫌気性細菌のジンジバリス菌は成人性歯周炎などの主要な歯周病の原因菌とされている。これまでの筆者らの研究から、本菌が産生する2種類のプロテアーゼArg-gingipain(Rgp)とLys-gingipain(Kgp)gは広範な宿主蛋白質を分解して強い病原性を発揮する一方で、菌体自身には本菌が歯周ポケット内で生存していくために不可欠な菌体蛋白質の分解を行うとともに菌体外からアミノ酸を獲得していることが次第に明らかにされてきた。従って、RgpおよびKgpを標的とした特異的な阻害剤が開発されれば、これまでにない特異性の高い歯周病治療薬ならび予防薬が開発される可能性が高い。そこで、本年度の研究では、Kgpに対する特異的な阻害剤およびRgpとKgpの両酵素を同時に阻害する薬剤の探索を行った。Kgpによる蛋白質基質切断の特異性に基づいて多数のオリゴペプチドを合成した。その中から、グルタミン酸・リジンを基本骨格にもつトリペプチド誘導体の中からKgpに対する強い阻害活性を有する化合物を5種類合成することができた。そのうちの1つ(KYT-39と命名)は、Kgpを10^<-8>Mオーダーで完全に阻害するが、Rgpに対する阻害活性はまったく示さなかった。同様に、宿主由来のシステインプロテアーゼのカテプシンB、H、Lなどに対しても阻害活性を示さなかった。この阻害剤とすでに開発済みのRgp阻害剤を併用すると、これまでに観察されてきたジンジバリス菌の多くの病原性を抑制することがわかった。こうした結果を踏まえて、RgpおよびKgpを同時阻害し得る二元的阻害剤が、Kgp阻害剤とすでに開発済みのRgp阻害剤の基本構造をもとに、現在開発されている
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Nishioku T., et al.: "Involvement of cathepsin E in exogenous antigen processing in primary cultured murine microglia"Journal of Biological Chemistry. 277. 4816-4822 (2002)
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[Publications] Baba A., et al.: "Roles for Arg-and lys-gingipains in disruption of cytokine responses and loss of viability of human endothelial cells by Porphyromonas gingivalis"Biol.Chem.. (in press). (2002)
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[Publications] Shoji M., et al.: "Construction and characterization of a nonpigmented mutant of Porphyromonas gingivalis : cell surface polysaccharide as a moorage for gingipains"Microbiology. 148(in press). (2002)
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[Publications] Nakanishi H., et al.: "Involvement of nitric oxide released from microglia-macrophages in pathological changes of cathepsin D-deficient mice"Journal of Neuroscience. 21. 7526-7533 (2001)
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[Publications] Baba A., et al.: "Arg-gingipain is responsible for the degradation of cell adhesion molecules of human gingival fibroblasts and their death induced Porphyromonas gingivalis"Biol.Chem.. 382. 817-824 (2001)
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[Publications] Sakai E., et al.: "Characterization of phagosomal subpopulations along endocytic routes in osteoclasts and macrophages"Journal of Biochemistry. 130. 823-831 (2001)
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[Publications] Kitano S., et al.: "Suppression of gingival inflammation induced by Porphyromonas gingivalis in rats by leupeptin"Japanese Journal of Pharmacology. 85. 84-94 (2001)
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[Publications] 山本健二: "歯周病の発症進展に関わる2つの病原性プロテアーゼ:歯周病原菌の生存戦略に協同して作用するジンジパイン"化学と生物. 40. 72-74 (2002)
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[Publications] 山本健二 他: "歯周病原性細菌の蛋白質分解酵素を介する生存戦略"蛋白質核酸酵素. 46. 1781-1788 (2001)
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[Publications] 馬場貴代, 山本健二: "歯周病研究の最前線:歯周病細菌と病原性因子はどこまで明らかにされたか"組織培養工学. 27. 17-21 (2001)
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[Publications] 山本健二: "アスパラギン酸プロテアーゼ:生理機能と病態に関する新知見"医学のあゆみ. 198. 23-28 (2001)
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[Publications] 筑波隆幸, 山本健二: "神経変性疾患とアスパラギン酸プロテアーゼ機能の新局面"蛋白質核酸酵素. 46. 132-142 (2001)
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[Publications] 山本健二: "タンパク分解の不思議"クバプロ. 187 (2001)