2002 Fiscal Year Annual Research Report
ABCトランスポーター遺伝子多型に基づくヒト生体中での機能解明
Project/Area Number |
13357020
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
家入 一郎 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教授 (60253473)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦江 明憲 九州臨床薬理クリニック, 臨床研究部長
樋口 駿 九州大学, 大学院・薬学研究府, 教授 (40218699)
大坪 健司 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (80260701)
|
Keywords | ABCトランスポーター / タクロリムス / 部分肝移植 / SNPs / BCRP / 中枢毒性 |
Research Abstract |
1.タクロリムスの中枢毒性:部分肝移植後の拒絶反応を抑える目的で投与される免疫抑制剤、タクロリムスには重篤な副作用としてけいれんを始めとする中枢毒性が知られている。タクロリムスは血液脳関門に発現するP-糖タンパクの基質である。タクロリムスによる中枢毒性の発現機序が、p-糖タンパクが持つ脳細胞への薬物の到達を阻害する機能が障害された結果として生じると考え、部分肝移植を受けた患者を中枢毒性の発現の有無で層別し、MDR1遺伝子多型を加えた諸要因の関与について検討した。その結果、タクロリムスの血中濃度、2677位の変異などにより、その発現の95%を予測することが可能であった。 2.ABCトランスポーターであるBCRPの多型解析を行った。その結果、23箇所、27種類の変異を確認した。その中には、10種類のアミノ酸置換を伴う変異が含まれていた。また、SNPsのみならず、数種類の部分欠損を伴うvariantsを確認した。さらに、重要と思われる変異、3種類について、人種間での頻度を検討した結果、明らかな違いを認めた。現在、これらの変異をin vivo, in vitroで検討中である。 3.MDR1遺伝子の5'上流非翻訳領域近傍にあるCpGアイランドのメチル化と発現量との関連を評価した、さらに、SNPsについて解析を加えた。その結果、一部のメチル化状態と胎盤に発現するP-糖タンパク量に関連を認めた。また、SNPsについては、数種類のハプロタイプを構成しており、in vitro実験により機能解析を行っている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kurata Y, Ieiri I, Kimura M, et al.: "Role of human MDR1 gene polymorphism in bioavailability and interaction of digoxin, a substrate of P-glycoprotein"Clinical Pharmacology & Therapeutics. 72. 209-219 (2002)
-
[Publications] Yamauchi A, Ieiri I, Kataoka Y, et al.: "Neurotoxicity induced by tacrolimus after liver transplantation : relation to genetic polymorphisms of the ABCB1 (MDR1) gene"Transplantation. 74. 571-578 (2002)
-
[Publications] Honda T, Dan Y, Koyabu N, Ieiri I, et al.: "Polymorphism of MDR1 gene in healthy Japanese subjects : a novel SNP with an amino acid substitution"Drug Metabolism and Pharmacokinetics. 17. 479-481 (2002)
-
[Publications] Hirota T, Ieiri I, Takane H, et al.: "Sequence variability and candidate gene analysis in two cancer patients with complex clinical outcomes during morphine therapy"Drug Metabolism and Disposition. (印刷中).
-
[Publications] 家入一郎: "ABCトランスポーター遺伝子多型とヒトでの機能評価"医学のあゆみ. 201. 659-664 (2002)
-
[Publications] 家入一郎: "トランスポーターの臨床的意義-遺伝子多型から見る薬物療法への寄与-"ファルマシア. (印刷中).