2001 Fiscal Year Annual Research Report
大気浮遊微粒子と付着有害化学物質のIn-Situレーザ計測
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13358009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長崎 晋也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20240723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 秀一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90262047)
米岡 俊明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40013221)
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
上田 真三 三菱マテリアル株式会社, 環境・エネルギー研究所, 主任研究員
門 信一郎 東京大学, 高温プラズマ研究センター, 助教授 (10300732)
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Keywords | レーザ誘起ブレイクダウン / 時間分解 / エアロゾル / カルシウム / 定量計測 |
Research Abstract |
時間分解型のレーザーブレイクダウン分光法(YAGレーザー:波長532nm、繰返し数20Hz、最大出力200mJ)を用いて環境中エアロゾルの代表的な物質である炭酸カルシウム粒子(JIS規格)の定量検出、及びブレイクダウンプラズマの知見を分光学的手法によって得ることを目的とした。 本実験では、炭酸カルシウム微粒子をTSI製アトマイザによって噴霧することによりエアロゾル試料を製作した。エアロゾル濃度の制御は分散水の濃度を変化させることによって行った。また、一定時間捕集させたフィルターから粒子を希硝酸で溶出させてICP測定することによって得られた値からカルシウム濃度を算出した。噴霧させたエアロゾル試料にレーザーを集光させることによって炭酸カルシウム粒子をブレイクダウンさせ、ブレイクダウン領域からの発光をファイバで収集し、スペクトルを観測した。また、エアロゾル粒子は空間的に不均質に存在するため、気体試料や液体試料と比べてパルスごとの発光強度のばらつきが大きい。既往の研究からブレイクダウンの発光領域は1mm^3程度であるといわれている。噴霧試料中の一つ一つの粒子がその微小領域に存在する確率は小さい。そのため、発光のヒストグラムは稀現象を記述するポアソン分布に従う。この発光の性質に基づきカルシウム粒子の定量検出を行った。 パルスレーザーが照射された直後に水に由来する初期発光が観測された。その後キャリアガスであるN_2から生じるN原子・イオンスペクトル発光が起こった(0〜300ns)。それに続いてN_2バンドスペクトルとCa原子・イオンがほぼ同時に発光し始めた。この性質を元に時間遅れ、ゲート幅共に10□sに設定してCaの定量検出を行った。炭酸カルシウム粒子のブレイクダウン発光は、100〜500μg/m^3の濃度範囲において直線性を示し、TRE-LIBSにより定量測定が可能であることを確認できた。また、分散水の噴霧によるエアロゾル試料の生成は検量線作成に有効であることがわかった。
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