2001 Fiscal Year Annual Research Report
イスラエル国ガリラヤ湖周辺地域の宗教文化に関する総合的研究
Project/Area Number |
13371001
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
月本 昭男 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (10147928)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
置田 雅昭 天理大学, 文学部, 教授 (50248176)
佐藤 研 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (00187238)
名取 四郎 立教大学, 文学部, 教授 (00113259)
牧野 久実 滋賀県琵琶湖博物館, 主任学芸員
市川 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20223084)
|
Keywords | イスラエル / キリスト教 / 遺跡 / ユダヤ教 / ガリラヤ湖 / 宗教文化 |
Research Abstract |
2001年度はガリラヤ湖東岸エン・ゲヴ遺跡の発掘調査と検討(1),ガリラヤ湖東・北岸の諸遺跡調査(2),トルコ国イズミール地方のユダヤ教およびキリスト教遺跡踏査(3)を行った。 (1)では,既に,本遺跡のアクロポリス部分に二層にわたる鉄器時代の列柱式建造物の存在が確認されていたが,下層の列柱式建造物に連続すると思われるもう一棟の石列部分が出土し,加えて本建造物の年代決定に大きな意味をもつと思われる土器片が同建造物の床面から検出された。また,前回までの調査で確認されていた東側の直線的な二重城壁(ケースメート式城壁)は予想以上に北に延びていることが判明した。さらに,都市の北東部分には,壁の厚さ1mに及ぶ大規模な公共の複合建造物が城壁に接して存在していることも確かめられた。これらの発掘調査結果は成,古代イスラエル時代のこの都市が綿密に計画されて造営されていたことを明らかにしつつある。 ヘレニズム時代の遺構では,やはり前回までに知られていた建物の西の延長部分に石敷きの一続き二部屋が出土し,その南の部屋の床面に円形に並べられた礫が複数検出された。それはこの部屋がアンフォラを貯蔵する倉庫であったことを示している。この複数のアンフォラの貯蔵に加えて,東を向いた方位,石段を上った高い位置などは,ここが何らかの宗教的施設であった可能性を示唆するが,今回の調査では未だそれを確証できるには至らなかった。なお,本研究の枠内で,過去のエン・ゲヴ遺跡調査の記録写真類のデジタル化に着手した。 (2)本年度は,夏期,ガリラヤ湖東岸から3kmの山上に築かれたヘレニズム都市ヒッポス(今年度よりハイファ大学とポーランド調査団が共同で発掘調査を開始した),ガリラヤ湖北岸の鉄器時代およびヘレニズム時代の遺跡ベトサイダ(アメリカ隊が発掘調査中)の三遺跡を視察し,エン・ゲヴ遺跡との比較研究のための資料を蒐集した。 (3)パレスティナ情勢の緊迫化に伴う危険性を考慮し,当初の研究計画からトルコ国小アジア地方のシナゴグおよび教会遺跡の調査に変更した。ガリラヤで誕生したユダヤ・キリスト教が北シリアを経て,まずはこの地で開化したからである。その結果,ガリラヤに始まるユダヤ・キリスト教がヘレニズム・ローマ文化の内部に融合するかたちでこの地に流入したことがより明確化した、
|