Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20223084)
置田 雅昭 天理大学, 文学部, 教授 (50248176)
名取 四郎 立教大学, 文学部, 教授 (00113259)
桑原 久男 天理大学, 文学部, 助教授 (00234633)
杉本 智俊 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (80338243)
|
Research Abstract |
(1)ヨルダン国における鉄器時代の諸遺跡の調査 本調査は二つの目的をもって行われた。ひとつは,2001年度に行ったガリラヤ湖東岸エン・ゲヴ遺跡の発掘調査結果を宗教文化史的に位置づけるために,ヨルダン国内の鉄器時代の諸遺跡を踏査し,各都市のヨルダン考古局より最新の発掘成果情報を入手することである。もうひとつは,ヨルダン国に残るデカポリスの諸都市の遺跡を視察し,各遺構の出土状況や最新の研究成果を確認することでヘレニズム時代からビザンティン時代にわたるガリラヤ湖周辺地域の宗教文化理解に役立てるためである。 調査期間:8月26日〜9月3日および12月26日〜1月3日 調査地域:ヨルダン北西部(トランスヨルダン)の鉄器時代のテルおよびデカポリス諸都市(ジェラシュ,アビラ,ウム=カイス,ペラ,アンマン,ベイト・ラス) 調査成果:ラモト・ギレアド,マハナイムなど鉄器時代の核となる遺跡の位置と発掘調査の現状を確認。デカポリス諸都市の発掘調査の現状と都市相互の位置関係を確認。 なお,本調査は,在イスラエル日本大使館による渡航自粛勧告により今年度実施不可能となった当初の研究計画(夏期休暇を利用したイスラエル国ガリラヤ湖東岸エン・ゲヴ遺跡の発掘調査)に代わって,研究課題の範囲内で計画変更したものである。当調査に関しては,ヨルダン大学文学部教授S・アッバディ氏の協力を得た。 (2)聖書考古学研究会の開催 2002年12月5日〜9日,イスラエル国テル・アヴィヴ大学M・コハヴィ教授を招聘し,12月6日に天理大学で,12月7日に立教大学において聖書考古学研究会を開催した。天理大学ではコハヴィ教授による聖書考古学研究の現状と課題と題する講義と討議を,立教大学では同教授および研究分担者名取四郎立教大学教授による発題をもとに討議を行い,ガリラヤ地域における宗教文化の理解を深めた。 (3)昨年度までのガリラヤ湖東岸エン・ゲヴ遺跡の発掘調査の報告に向けた資料の検討 エン・ゲヴ遺跡では,同一研究課題のもとに1998〜1999年度および2001年度文部省科学研究費補助金(研究代表月本昭男)によって実施した発掘調査結果を踏まえ,7月23日から8月17日まで今年度の発掘調査を実施したが,その際に出土した遺構および遺物の実測図をもとに検討を加え,本格的な研究報告書の準備作業を行った。なお,1999年度および2001年度の発掘調査の成果に関しては,年次報告をまとめ,2003年3月に研究代表者がイスラエル国考古・古物局に提出した。 (4)トルコ共和国およびイタリア共和国におけるユダヤ教およびキリスト教遺跡踏査 3月14日〜29日,研究分担者名取四郎が,イスラエル国ガリラヤ湖周辺の古代ヘレニズム・ローマ都市との比較研究を目的として,トルコ共和国およびイタリア共和国の古代都市踏査を実施した。地中海古代都市地誌上の諸問題、ならびに古代都市における教会堂およびシナゴーグの配置の問題を実地調査し,後期古代,初期中世,中世ピザンティン時代の都市史の写真資料および文献資料を収集した。
|