2001 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ熱帯森林帯における民族的アイデンティティの再編成に関する人類学的研究
Project/Area Number |
13371006
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹内 潔 富山大学, 人文学部, 助教授 (40212021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 茂樹 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10134751)
黒田 末寿 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80153419)
赤阪 賢 京都府立大学, 文学部, 教授 (60099231)
武内 進一 日本貿易振興会, アジア経済研究所・地域研究第2部, 副主任研究員
澤田 昌人 京都精華大学, 人文学部, 助教授 (30211949)
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Keywords | アフリカ / 熱帯森林 / 民族的アイデンテイテイ / 民族間関係 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
1.赤阪によるギニア共和国東部の森林地域の調査では、マリンケ、プルなどの諸農耕民集団が活発な農業生産物の流通を通して、民族集団の枠を越えて経済的に共同していることが明らかとなった。 2.梶によるウガンダ共和国西部の調査では、アンコーレ人の言語がチガなど周辺諸民族の言語と言語学的に親縁関係を持つ可能性が見いだされ、同地域におけるかつての王国形成に諸民族がどのように関わっていたかを言語学的に分析する端緒が得られた。 3.研究協力者2名によるカメルーン共和国の森林地域での調査では、以下の知見が得られた。 1)東部の森林地域では、狩猟採集民バカの儀礼の中心をなす森の精霊「ジェンギ」のパフォーマンスがバカにとって周辺農耕民集団との差異化をはかる一つの手段として実践されていることが明かとなった。 2)南東部の森林地域では、狩猟採集民バカと周辺に居住する農耕民バクウェレの伝統的な杜会関係が、近年のヒトとモノの移動の増加によって変容し、かつての対立的な関係が緩和されていることが明かとなった。 4.竹内はガボン共和国東部の森林地域でこれまで人類学的報告が皆無であった狩猟採集民ボンゴの調査をおこなったが、商業経済の浸透や砂金採取などの地域の経済事情を反映して、ボンゴが、伝統的な社会経済的関係を結んできた農耕民ミチョゴの村に居住してミチョゴと同化する傾向にあるグループと、森林内に居住してミチョゴとの関係は維持しながら農耕と狩猟を自立的におこなっているグループの二つに分化していることを明らかにした。 5.文献研究をおこなった武内は、土地の希少性や杜会関係などの点で、ルワンダ共和国の農村社会はガボンなどの中西部アフリカの農村社会と対照的な動態を示していることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 赤阪 賢: "狩人王の伝説:マンデ社会におけるドンソの役割"アフリカ伝統王国研究(嶋田義仁編). 2巻. 25-37 (2001)
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[Publications] 梶 茂樹: "バンツー諸語の声調-そのタイプ-"音声研究. 5巻1号. 37-45 (2001)
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[Publications] 武内 進一: "ルワンダの政治変動と土地問題"アジア経済研究所双書『アフリカの政治経済変動と農村社会』. 513号. 15-60 (2001)
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[Publications] 竹内 潔: "「仲介者」としての人類学者"エコ・ソフィア. 7号. 74-75 (2001)
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[Publications] 黒田末寿: "自然学の未来-自然への共感"弘文堂. 252 (2002)
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[Publications] 澤田昌人(編著): "アフリカ狩猟採取社会の世界観"京都精華大学創造研究所. 198 (2001)
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[Publications] 竹内 潔(共著): "森と人の共存世界(市川光雄, 佐藤弘明編)"京都大学学術出版会. 258 (2001)