2002 Fiscal Year Annual Research Report
北半球の気候に影響を与えるノルウェー海周辺での水蒸気輸送・降水・気象擾乱の研究
Project/Area Number |
13373003
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
菊地 勝弘 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80000793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶川 正弘 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (20042319)
早坂 忠裕 総合地球環境学研究所, 教授 (40202262)
遊馬 芳雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10183732)
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 教授 (40132716)
佐藤 昇 大阪府教育センター, 科学教育部, 主任研究員 (70187219)
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Keywords | ノルウェー海 / 気象擾乱 / 降水現象 / 水蒸気輸送 / ポーラーロー / 鉛直ドップラーレーダー / 雪結晶 / ノルウェー:フィンランド |
Research Abstract |
平成14年度(2002)の「北半球の気候に影響を与えるノルウェー海周辺での水蒸気輸送・降水・気象擾乱の研究」の研究観測は、以下の課題について行われた。 1.「ノルウェー・ベアーアイラインド島(北緯74°30'、東経19°01')における鉛直ドップラーレーダー観測」 平成13年(2001)9月にペアーアイランドに設置した北海道大学大学院理学研究科所有の鉛直ドップラーレーダーと秋田大学工学資源学部所有のマイクロ波放射計による北極圏の降水現象や水蒸気量の変動状況を10月1日からモニターし、データを蓄積している。平成14年12月に現地に入り、機器の保守点検とレーダー送信波を調整する機器を追加設置した。一部データ取得に欠損があるものの、ノルウェー気象局の協力のもとに良好なデータが得られている。尚レーダー観測の結果は、ホームページを通して見ることができるようにし、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどで、北極海での気象擾乱研究者にも利用許可申請の提出によって、データの提供をできるようにした。 2.「フィンランド・ソダンキラのフィンランド気象局北極研究センター(北緯67°22'、東経26°38')における降雪観測」 平成14年1月6日から28日までフィンランド北極圏内のソダンキラで降雪観測を行った。観測期間中、全く降雪のなかったのは3日間だけで、他の日は何らかの降雪がみられた。 雪結晶の観測では、プラスチック・レプリカ法により、約20分毎にスライドグラス203枚を作成した。結晶形は幅広い温度範囲で、針状結晶から霰まで、ほとんど全ての結晶形を記録したほか、低温型雪結晶も観測された。また砲弾結晶の雪片形成機構を解明するための基礎として、自然落下中の結晶をデジタルビデオに収録した。 3.「北極域における雲・雪氷面の衛星データ解析」 NOAA/AVHRR赤外データを用いて、カナダ北部の北極海の海氷分布と雲分布の変動について調べた。AVHRRのChannel 4の輝度温度およびChannel 4と5の輝度温度差を用いると上層の雲と海氷の雲を区別することができる。また、海氷についても、表面の状態によって輝度温度差が変化することが示唆された。更に日射がある場合の可視域のデータ利用可能性についても検討した。その結果、雲の不均質性の影響を避けるためには、衛星直下のデータを利用することが有効であることが示された. 4.「スバルバール諸島ニーオルスン基地(北緯78°55'、東経20°25')の各種気象観測」 ニーオルスン基地でも鉛直ドップラーレーダー観測を継続している。今後北極域全体の気象状況を考慮しながら、ベアーアイランドのデータとの比較を検討している。また、降水粒子観測装置(POSS)、エアロゾルカウンター、地上オゾン濃度のデータから、以下の結果が得られた。異なる気塊によって、エアロゾル粒子の粒径分布、降水粒子の粒径分布等にはっきりした違いのあることが見出された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kikuchi, K. et al.: "Relationship between aerosol number concentrations and convergence fields in winter monsoon seasons"Journal of Geophysical Research. 107・D3. 4115-4126 (2003)
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[Publications] 遊馬芳雄, 福田陽子, 菊地勝弘, 塩原匡貴, 和田誠, G.W.K.Moore: "ノルウェー海上のポーラーローの航空機観測"南極資料. 46. 243-260 (2002)
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[Publications] Kajikawa, M.K.Kikuchi, H.Uyeda, Y.Asuma, N.Sato: "Characteristics of the ice pellets observed in mid-winter in the Arctic region"Polar Meteorology and Glaciology. 16. 74-83 (2002)
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[Publications] Iwabuchi, H., T.Hayasaka: "Effects of cloud horizontal inhomogeneity on the optical thickness retrieved from moderate-resolution satellite data"Journal of Atmospheric Science. 59. 2227-2242 (2002)
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[Publications] Kuba, N., H.Iwabuchi, K.Maruyama, T.Hayasaka et al.: "Parameterization of the effects of cloud condensation nuclei on optical properties of a non-precipitating water layer cloud"Journal of the Meteorological Society of Japan. 81・2(in press). (2003)
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[Publications] Wada.H.et al.: "Size distributions of aerosol and snow particle in different type air masses"Norwegian Polar Institute International Report. 10. 45-48 (2002)