2004 Fiscal Year Annual Research Report
チリ海嶺沈み込みと陸弧における火成活動の時空的変遷
Project/Area Number |
13373004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安間 了 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (70311595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩森 光 東京大学, 理学部, 助教授 (80221795)
折橋 裕二 東京大学, 地震研究所, 助手 (70313046)
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Keywords | 海嶺沈み込み / パタゴニア / 火成作用 / 広帯域地震計 / 古地磁気 / 岩石年代学 / 地球化学 / タイタオ・オフィオライト |
Research Abstract |
深成作用班(責任者:安間)は、チリ海嶺沈み込みに関連した火成岩類の時空的変遷を推定することを目的として、2003年度に採取した中新世火成岩類試料の鏡下観察・全岩化学分析・年代測定を行った。これらの結果は、随時公表する予定である。また、海嶺衝突事件の産物とされるタイタオ・オフィオライト定置機構を古地磁気学的な手法を用いて明らかにした(Veloso他、Ofioliti投稿中)。南米における古地磁気極変遷のリファレンスを構築するため、パタゴニア火山地帯で年代測定・岩石磁気測定用の試料採取を完了した(Anma他、2004)。また、同地域における氷河地形調査を行った(Aniya他、2005)。 地震班(責任者:岩森)は、3Maに沈み込んだ海嶺の東西対照的な拡大によってアセノスフェリック・ウィンドウが地下に存在すると考えられるジェネラルカレラ湖周辺地域を中心に、南北300km x東西100kmの範囲に、40台の地震計を設置した(2005年1月)。2003年度に設置済みの地震計20台と合わせて60台からなる地震計網(半数以上は広帯域地震計)の設置作業を終了した。今後はデータを蓄積し、遠地地震による地下構造の推定、および震源メカニズム解による応力場・テクトニクスの推定を行っていく予定である。また、既存のデータを用いて独自の数値実験を行い、マントル構成物質が水を保持できる深度と沈み込むスラブの年代・速度との関連を明らかにした(Iwamori,2004)。 火山班(責任者:折橋)は、海嶺沈み込み帯近傍で島弧中軸部での火山活動が見られないことに着目し、この火山ギャップの南北に位置するハドソン火山とラウタロ火山の詳細な年代学的検討を行い、100万年に遡る形成史を明らかにした(Orihashi et al,2004)。また、研究協力者のSchillingら(2005)は、パタゴニア火山地帯からマントルの捕獲岩を見いだし、マントルの組成と上昇中の玄武岩との相互作用を議論した。 今年度までの一連の研究調査で、パタゴニア地方のほぼ全域から、島弧方向・胴切り方向のバリエーションをカバーできるように中新世以降の火成岩類が網羅的に採取された。これによって、チリ海嶺沈み込みと前弧-島弧-背弧系における火成作用の時空的変遷を系統立てて研究する下地が、確立された。
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Research Products
(5 results)