2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13373006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 豊 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80091164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸島 司郎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (60183802)
岩田 修二 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60117695)
藤田 耕史 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (80303593)
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Keywords | 氷河 / ヒマラヤ / 氷河縮小 / モンスーン / 氷河湖 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
ヒマラヤの氷河では、夏のモンスーンによる積雪量が年間量の大部分を占めるため、氷河変動が温暖化に鋭敏で、近年の氷河縮小の加速傾向が他地域よりも強いことが観測されている。本研究では氷河縮小の実態の広域比較解析と、モンスーン型氷河の縮小機構の解明を主目的として実施している。 今年度の現地調査は、モンスーンの影響が最も強いヒマラヤ東部のブータンを中心に、その影響の弱いヒマラヤ西部のインドの概査を加え、氷河変動へのモンスーンの影響度の違いを広域的に比較した。また衛星画像の解析、安定同位体解析のためのネパールでの降水試料採取、海外共同研究者との研究連絡と資料収集などを行った。また、国内の雪渓で氷河の融解に関わる実験的観測を行った。 ブータン・ヒマラヤではブータン地質調査所と共同で、自動気象水文観測装置を設置し、氷河域での通年観測を開始するとともに、氷河の融解量と流動量および氷河上湖の変化を求めるため、氷河上に多数の観測点を設けて測量した。同時に氷河微生物が氷河融解に与える影響を調査した。インド・ヒマラヤでは、モンスーンの開始時期が東部より遅い半乾燥域であるが、緯度が比較的高く寒冷で、また冬期の積雪も氷河質量収支に効くため長大な氷河が多いことなどがわかった。衛星画像の解析では、ヒマラヤでも東部だけでなく、西部でも氷河縮小が顕著であることが判明した。 ブータン・ヒマラヤでは、来年度に予定されている自記データ回収や再測量から、多くの新たな知見が得られるものと期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sakai, A. et al.: "Distribution characteristics and energy balance of ice cliffs on debris-covered glaciers, Nepal Himalaya"Arctic, Antarctic, and Alpine Research. 34,1. 12-19 (2002)
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[Publications] Naito, N. et al.: "Surface lowering on the ablation area of Lirung Glacier, Nepal Himalayas"Bulletin of Glaciological Research. 19. 41-46 (2002)
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[Publications] Kayastha et al.: "Positive decree-day factors for ice ablation on four glaciers in the Nepalese Himalayas and Qinghai-Tibetan Plateau"Bulletin of Glacioloaical Research. 20. 7-14 (2003)
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[Publications] Karma et al.: "Glacier distribution in the Himalayas and glacier shrinkage from 1963 to 1993 in the Bhutan Himalayas"Bulletin of Glacioloaical Research. 20. 29-40 (2003)