2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯泥炭湿地林地域の環境特性と荒廃地修復技術の開発
Project/Area Number |
13374002
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
長野 敏英 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (10012006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 邦彦 筑波大学, 社会工学系・都市計画専攻, 助教授 (60182804)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (30018048)
石田 朋靖 宇都宮大学, 農学部, 教授 (00159740)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境センター, 助教授 (80211895)
丹下 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究所, 教授 (20179922)
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Keywords | 熱帯泥炭湿地林 / 二酸化炭素フラックス / 荒廃地修復 / 有用植物資源 / 生物多様性 / 土地利用 |
Research Abstract |
荒廃地の環境特性;荒廃地の環境特性は水分環境によって大きく異なってくる.そこでナラチワ泥炭地域における炭素フラックスの測定を行った。泥炭湿地原生林では5.32tC/ha/year、泥炭湿地林を破壊して荒廃地となっている二次林(雨季に湛水、乾季には地下水が-50cm前後)では5.22tC/ha/year、仮定として通年乾燥状態を仮定すると-0.40tC/ha/year、同じく通年湛水状態では9.69tC/ha/yearの結果が得られた. 泥炭消失について;泥炭荒廃地から多量の二酸化炭素が放出されていると考えられ、泥炭土壌からの二酸化炭素フラックス測定を行った.土壌水分量によって土壌呼吸量は大きく異なり、乾燥状態(土壌含水率50〜70%)では20〜25tC/ha/yearと大量の二酸化炭素を放出している.また、20年間にわたり泥炭開発地域の泥炭消失速度を測定している.開発地域は開発地区と保全地区に線引きされているが、開発地域での泥炭消失速度は5.3cm/年と大きな速度で泥炭は消失している.泥炭の蓄積速度は1年間に2mm前後と言われているので、泥炭湿地林を開発した結果、20年から30年かけて蓄積した泥炭が僅か1年で消失したことになる。これは開発地域からは31.3tC/ha/年の炭素を放出したことになる.保全地域からの炭素発生量は8.0tC/ha/年である。 荒廃地域の造林技術の開発;泥炭湿地の酸性硫酸塩土壌に在来種のMelaleuca cajuputi, Syzgium grande, Sy. oblatum, Sy. pseudosubtilis, Sy. spicatum, Fagraea fragrans,マメ科早成樹のAcacia auriculiformis, A. mangium, Cassia siamea, Leucaena leucocephala, Paraserianthes falcatariaの植栽栽培を行った.当地域は11月から3月の間湛水状態にある。その結果、A. auriculiformis, M. cajuputi, Syzgium grande, Sy. oblatum, Sy. pseudosubtilis, Sy. spicatum, Fagraea fragransはAl耐性が高く、M. cajuputi, Sy. oblatum, Sy. pseudosubtilisはAl耐性に加え、湛水ストレス耐性も有していると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Yoshino, T, Nagano et al.: "Classification of Vegetation in a Tropical Peat Swamp Area by Remote Sensing in Narathiwat of the Southern Part of Thailand"Rural and Environmental Engineering. No.42. 15-25 (2002)
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[Publications] K.Yoshino, T, Nagano et al.: "Distribution of Peat Depth in Tropical Peat Swamp Area in Narathiwat of the Southern Part of Thailand"Rural and Environmental Engineering. No.43. 13-22 (2002)
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[Publications] 吉野邦彦, 石田朋靖, 長野敏英: "係留型バルーンからの空中写真を用いた熱帯泥炭湿地林の地上部バイオマス量推定"写真とリモートセンシング. 39. 56-61 (2000)
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[Publications] T.Yamanosita, T.Nuyim, M.Masumori, T.Tange et al.: "Growth response of Melaleuca cajuputi to flooding in tropical peat swamp"Journal of Foest Research. 6. 217-219 (2001)
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[Publications] T.Hashimoto, K.Kojima, T.Tange, S.Sasaki: "Changes in carbon storage in fallow forests in the tropical lowlands of Borneo"Forest Ecology and Management. 126. 331-337 (2000)
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[Publications] S.Muramatsu, K.Kojima et al.: "Inhibition of the light-independent synthesis of chlorophyll in pine cotyledons at low temperature"Plant Cell Physiology. 42. 868-872 (2001)