2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13375002
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北山 兼弘 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (20324684)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 達之 京都大学, 生態学研究センター, 研究生 (40362420)
里村 多香美 京都大学, 生態学研究センター, COE研究員
相場 慎一郎 鹿児島大学, 理学部, 助手 (60322319)
長谷川 元洋 京都大学, 森林総合研究所, 研究官 (70343811)
|
Keywords | 熱帯山地林 / 樹木種多様性 / ハワイ / マレーシア / 土壌発達 / 栄養塩資源傾度 / 純一次生産 / 種プール |
Research Abstract |
この研究の目的は、樹木多様性がどのように熱帯降雨林生態系の機能を支配しているのかを明らかにすることであり、地域レベルの種多様性が極端に異なるハワイ諸島とマレーシアの比較を行っている。最終年度である本年度は、2地域に設けた土壌発達傾度に沿った複数の森林試験地において毎木調査を行い、木部の肥大成長量を算出した。また、全試験地に設置されたリタートラップからリター回収を2週間から1ヶ月毎に行い、回収したリターの器官別仕分け及び乾重測定を行い、リターの生産速度を明らかにした。ハワイ諸島については過去2年の、マレーシアについては過去4年のリター生産量が明らかになった。肥大成長量にリター生産量を加味して、森林の地上部純一次生産量を算定した。土壌栄養の減少に植物や従属生物がどのように適応しているのかを明らかにするため、特に共生菌根菌に焦点を絞り、マレーシアの代表的なサイトに於ける菌根バイオマスと菌体バイオマスの定量化を行った。各サイトから土壌を採取し、細根、菌根、土壌の3つに仕分けし、エルゴステロールを生化学マーカーとして菌体量の定量分析を行った。また、土壌微生物群集の群集解析を生化学的PLFA法を用いて行った。また、貧栄養に対する樹木の適応を組織解剖学的に明らかにするために、材の通導組織観察と葉の水ポテンシャル測定を行った。以上の結果、地域の種多様性が高いと、土壌栄養塩の減少に対して、組織的、生態生理的により栄養塩利用効率の高い(適応的)種への入れ替わりが起こり、熱帯降雨林の機能は維持されるとの新たな知見が得られた。一方、地域の種多様性が低いと、種の入れ替わりが起こらず、土壌栄養塩量を反映して森林の機能は大きく変化した。
|
Research Products
(5 results)