2003 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・オセアニアの地域開発が環境と住民に及ぼす影響に関する生態人類学的研究
Project/Area Number |
13375004
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
口蔵 幸雄 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (10153298)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 康弘 国立健康・栄養研究所, 健康栄養情報・教育研究部, 部長 (60181757)
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
河辺 俊雄 高崎経済大学, 政策科学部, 教授 (80169763)
安高 雄治 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (50336187)
須田 一弘 北海学園大学, 人文学部, 教授 (00222068)
|
Keywords | パプアニューギニア / トンガ / 生態人類学 / 地域開発 / 環境変容 / 社会文化変容 / 資源利用 / 健康・栄養 |
Research Abstract |
南アジアや太平洋地域の発展途上国における、それまで国家や世界から比較的隔離された自立的・自給的集団は近年の経済のグローバリゼーションと関連した企業や国家(行政)主導による開発や近代化の影響により急激な生活の変容をとげつつある。本研究はこれら開発や近代化の影響と生活の変容に関して生態学的視点からの解明を目的としている。本年度は、多様な環境で生活し,伝統的生活の変容もさまざまな程度で異なるパプアニューギニア諸集団のなかからいくつかの集団を選び,環境劣化の程度と生活の変容の程度を比較することによって,近代化と開発による環境劣化が住民の生存能力におよぼす影響について生態学的評価を行い,トンガ王国の島嶼において電力供給開始による漁撈活動をはじめ,それまで自給を中心とした生業諸活動の変化とそれの食生活・健康に及ぼす影響を追跡した。具体的には,パプアニューギニアの山麓部(西州,ノマッド地区;口蔵,須田が担当),高地周縁部(南高地州、カルリ地区;河辺が担当),および島嶼部(マヌス州,バルアン島;安高が担当)の3つの環境および開発や近代化の影響の程度が異なる集団において,資源利用,生業活動(時間・空間利用),生活時間配分(即時走査標本抽出法),食物・栄養摂取量,家計調査(現金の収支),生体計測と健康・栄養状態,自然環境の改変の程度についての調査を行い,生活の変容の程度を比較した。これら集団はそれぞれの担当者が5-20年前にもインテンシブな調査を行っており,経時的変化の観察が可能である。松村と牛島は昨年に続きトンガ王国ハノア島ハアノ村において,環境と生活の変化についての基礎データの収集を行った。また,調査対象村落周辺の自然環境と土地利用の変遷について衛星データを用いて解析中である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 河辺俊雄: "生態・社会・経済変化の激しい,吹き矢狩猟採集民オランアスリ(マレーシア)の身体計測"Anthropological Science (Japanese Series). 111. 95-96 (2003)
-
[Publications] 河辺俊雄, 山内太郎: "ニューギニア高地フリ族の成長と活動・栄養"Auxolology. 9. 48-50 (2003)
-
[Publications] Inaoka, T., et al.: "HLA-DBR1 polymorphism of Balopa islanders in Papua New Gunia"Anthropological Science. 111. 157-164 (2003)
-
[Publications] Inaoka, T., et al.: "Effects of arsenic on younger generations"Journal of Environmental Science and Health. 38. 129-139 (2003)
-
[Publications] 稲岡司: "太ったって良いじゃあないか?-肥満を容認するトンが社会-"オセアニア. 70号. 4-7 (2004)
-
[Publications] 松村康弘: "高齢者に多い疾病と生活習慣とのかかわり"ジェロントロジー・ホライゾン. 15. 209-215 (2003)
-
[Publications] 口蔵幸雄: "狩猟民の生態,経済,社会の変化"人文書院(池谷和信編『熱帯アジアの森の民』所収)(印刷中). (2004)