2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410001
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野家 啓一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40103220)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
座小田 豊 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20125579)
川本 隆史 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40137758)
清水 哲郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70117711)
鈴木 淳子 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50265518)
篠 憲二 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20086119)
|
Keywords | 移動 / 社会変動 / 文化変容 / 面接的調査 / 異界 / 留学体験 |
Research Abstract |
ヘラクレイトスの「万物は流動する」(panta rhei)やゼノンのパラドックスを引くまでもなく、哲学の源流をなす思想家たちにとって《動き》は重要なテーマであった。モノの動きとヒトの動きにはどれほどの共通性があり、どこが違うのか。あるいは同じ動物の動きの中で、人間の動きにはどんな特徴があるのか。「人の移動の哲学」は、そうした哲学の根本的問題に立ち返りながら知の組み替えを図り、同時に現代の社会と文化の変動が突きつけてくる実践的な難問に応答することを試みるものである。 1 一年目の今年度は、「人の移動」を《哲学する》方法論の探求に主力を費やした。そこで得られた重要な知見は、鈴木淳子(研究分担者)の単著『調査的面接の技法』に盛り込まれている。本書は、異文化比較の調査におけるノンヴァーバル・コミュニケーションの意義と、インフォーマントの人権に対する配慮を強調している。この方法論は来年度以降の共同研究の立脚点を提供するであろう。 2 研究代表者の野家啓一は、「人の移動」がもたらす境界領域としての「異界」に注目する作業を始めた。また鷲田清一(研究分担者)は、移動=留学体験をその成立契機とする九鬼周造の哲学の再評価を開始し、その成果の一部を2001年7月16日に開催された「KNSネットワーク研究会」(東北大学)で報告し、多くの研究分担者に知的刺激を与えた。 3 各分担者は研究実施計画に沿って、携帯用端末ツールやノートパソコンを購入し、相互の連携や情報処理の効率化を推進した。また課題に関わる洋雑誌のバックナンバーを数種類揃えることが出来たため、2年目からの研究の基礎固めがほぼ完了した。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 野家 啓一: "<理性の外部>としての異界"文学(岩波書店). 2巻6号. 2-6 (2001)
-
[Publications] 清水 哲郎: "アンセルムス哲学の系譜に連なるオッカム"思索(東北大学哲学研究会). 34号. 1-20 (2001)
-
[Publications] 川本 隆史: "福祉と連帯のつながり 「介護の町内化」と「内発的義務」をめぐって"月刊福祉(発行:全国社会福祉協議会). 84巻10号. 28-31 (2001)
-
[Publications] 座小田 豊: "近代哲学における「神」の問題"哲学会誌(弘前大学哲学会). 35号. 30-48 (2001)
-
[Publications] 長谷部 正: "食の倫理 所有の観点から"農業経済研究報告(東北大学大学院農学研究科). 33号 印刷中. (2002)
-
[Publications] 熊野 純彦: "世界と身体のイメージを織りなすこと <所有>ということばをめぐって"理戦(実践社). 65号. 82-95 (2001)
-
[Publications] 鈴木 淳子: "調査的面接の技法"ナカニシヤ出版. 182 (2002)