2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野家 啓一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40103220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
座小田 豊 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20125579)
川本 隆史 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40137758)
清水 哲郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70117711)
鈴木 淳子 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50265518)
篠 憲二 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20086119)
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Keywords | 移動 / 社会変動 / 文化変容 / 時間論 / 歴史的理性批判 |
Research Abstract |
ヘラクレイトスの「万物は流動する」(panta rhei)やゼノンのパラドックスを引くまでもなく、哲学の源流をなす思想家たちにとって《動き》は重要なテーマであった。モノの動きとヒトの動きにはどれほどの共通性があり、どこが違うのか。あるいは同じ動物の動きの中で、人間の動きにはどんな特徴があるのか。「人の移動の哲学」は、そうした哲学の根本問題に立ち返りながら知の組み替えを図り、同時に現代の社会と文化の変動が突きつけてくる実践的な難問に応答することを試みる。 1.「人の移動」を可能にする空間のあり方を主たる検討課題とした昨年度をうける形で、本年度は「人の移動」を可能にする時間のあり方の吟味から共同研究をスタートさせた。その手がかりとして、カントの時間論の研究に基づいて独自の時間論を展開している中島義道氏(電気通信大学/哲学)をお呼びして、研究討論会を行った(2003年7月16日、東北大学文学部大会議室)。自我と時間をめぐる近代哲学の思い込みを暴き出そうとする中島氏の作業はきわめて挑発的であり、「人の移動」の哲学に資するところがあるとの知見を得た。 2.次いで、「人の移動」の哲学の基礎理論を固めるべく、世界的に再評価の動きが見られる哲学者ディルタイを取り上げ、東北哲学会との合同シンポジウムを開催した(10月18日、東北学院大学泉キャンパス2号館)。竹田純郎氏(金城学院大学)の「ディルタイの社会哲学的思考-生の概念との関連で」および牧野英一氏(法政大学)「歴史的理性批判の射程」という二報告に続けて、活発な討論が繰り広げられ、代表者の野家が「脱領域的知性」のチャンピオンと形容したディルタイ哲学の現代的意義が浮き彫りにされた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 野家啓一: "物語行為による世界制作"思想(岩波書店). 954. 54-72 (2003)
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[Publications] 野家啓一: "<情報内存在>としての人間:哲学から見た情報概念"正村俊之ほか(編)『パラダイムとしての社会情報学』(早稲田大学出版部). 69-98 (2003)
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[Publications] 清水哲郎: "局地的断絶/長期的低落傾向からの回復"中世思想研究(中世哲学会). 45. 144-154 (2003)
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[Publications] 川本隆史: "卓越・正義・租税-社会政策学の《編み直し》のために"社会政策学会誌(社会政策学会). 11. 1-15 (2004)
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[Publications] 座小田豊: "懐疑する<自己>と<無限>あるいは「理性」のラビリンス"思索(東北大学哲学研究会). 36. 1-24 (2003)
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[Publications] 大渕憲一: "対人葛藤の解決スキル"教育と医学(教育と医学の会). 51. 19-27 (2003)
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[Publications] Keiichi Noe, Hsien-hao Liao, Seong-Kon Kim, Yasunari Takeda et al.: "Postmodernism in Asia : Its Conditions and Problems"The University of Tokyo. 115 (2003)