2002 Fiscal Year Annual Research Report

美的言説の政治性に関する比較思想史的研究

Research Project

Project/Area Number	13410017
Research Institution	Kobe University
Principal Investigator	水田恭平神戸大学, 国際文化学部, 教授 (50093711)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	山田広昭東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40210471) 長野順子神戸大学, 文学部, 教授 (20172546) 廳茂神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10148489) 安西信一東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50232088) 小田部胤久東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (80211142)
Keywords	ゴシック / 表現主義 / 革命 / 法 / 表象 / 決断 / 美 / 総合性
Research Abstract	本年度の研究実施計画は、前年度のロマン主義の政治的含意をめぐる研究をより具体的な政治表象に則して研究し、イギリス、フランス、ドイツにおける近代像の相違を明らかにすることであった。具体的には次の項目について研究の進展をみた。 1・前年度に引き続き「ゴシック」観念のナショナルなレベルでの展開の相違を探求するとともに、20世紀の表現主義における「ゴシック」観念の復興、そして美術研究史レベルでの「ゴシック」概念研究の展開を20世紀初頭の政治社会史との関連において研究することができた。 2・フランス革命をめぐる視覚イメージ、とりわけ「恐怖」という感情を表現する言説、図版という具体的展開のなかに、「革命」と「美的なるもの」との関係を探求し、西ヨーロッパにおける近代性の相違というわれわれの主要な関心に則した研究の進展をみた。 3・カール・シュミットの政治思想を、19世紀末から20世紀前半のヨーロッパにおける社会的危機の醸成との関連において研究し、政治的決断、法、表象というシュミットの観念がその時代の芸術思想と密接に連関していることを確認することができた。1.で言及した「ゴシック」観念と表現主義との連関もその具体例である。 4・19世紀末から20世紀にかけてのドイツにおける社会的危機を社会思想レベルで表現したものとしてのゲオルク・ジンメル、マックス・ウェーバーの思想において、「美」という観念がどのように表出されているかをフランスにおける社会思想と比較し、その相違を確認することができた。 5・20世紀初頭の「バウハウス」運動に、美をめぐる思想が社会変革を含む「総合的性格」を持つことを確証し、それをドイツ語圏の美的思考の20世紀的展開として跡づけることができた。また全体主義という20世紀の政治思想との関連を明らかにすることが課題として浮かび上がった。

Research Products

(8 results)

All Other

All Publications (8 results)

[Publications] 廳茂: "G.ジンメルにおける<社会と美>(その3)"国際文化学研究. 17号. 1-70 (2002)
[Publications] 長野順子: "<倒立>した崇高とその怪物性"シェリング年報. 10号. 80-91 (2002)
[Publications] 長野順子: "The Subversive Sublime and Its Monstrosity Re-reading Mary Shelley's Frankenstein"Act of the XV the International Congress of Aesthetics. 15号(CDROM). (2002)
[Publications] 山田広昭: "カール・シュミットの決断主義"批評空間. 第III期3号. 223-237 (2002)
[Publications] 小田部胤久: "ゴシックと表現主義の邂逅-ヴォリンガーによる「ヨーロッパ中心主義的」芸術史の批判とその行方"美学芸術学紀要(東京大学文学部美学芸術学研究室). 20号(印刷中). (2002)
[Publications] 小田部胤久: "美学における歴史の呪縛"UP(東京大学出版会). 357号. 17-25 (2002)
[Publications] 小田部胤久: "Originalitaet und ihr Ursprung. Begriffsgeschichtliche Untersuchungen zur modernen Aesthetik"JTLA. 27号(印刷中). (2002)
[Publications] 山田広昭: "ヴァレリーと第四の身体、(『岩波講座文学』第11巻)"岩波書店(所収). 458 237-252 (2002)

2002 Fiscal Year Annual Research Report

美的言説の政治性に関する比較思想史的研究

Principal Investigator

水田 恭平 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (50093711)

Research Products

[Publications] 廳 茂: "G.ジンメルにおける<社会と美>(その3)"国際文化学研究. 17号. 1-70 (2002)

[Publications] 長野 順子: "<倒立>した崇高とその怪物性"シェリング年報. 10号. 80-91 (2002)

[Publications] 長野 順子: "The Subversive Sublime and Its Monstrosity Re-reading Mary Shelley's Frankenstein"Act of the XV the International Congress of Aesthetics. 15号(CDROM). (2002)

[Publications] 山田 広昭: "カール・シュミットの決断主義"批評空間. 第III期3号. 223-237 (2002)

[Publications] 小田部 胤久: "ゴシックと表現主義の邂逅-ヴォリンガーによる「ヨーロッパ中心主義的」芸術史の批判とその行方"美学芸術学紀要(東京大学文学部美学芸術学研究室). 20号(印刷中). (2002)

[Publications] 小田部 胤久: "美学における歴史の呪縛"UP(東京大学出版会). 357号. 17-25 (2002)

[Publications] 小田部 胤久: "Originalitaet und ihr Ursprung. Begriffsgeschichtliche Untersuchungen zur modernen Aesthetik"JTLA. 27号(印刷中). (2002)

[Publications] 山田 広昭: "ヴァレリーと第四の身体、(『岩波講座文学』第11巻)"岩波書店(所収). 458 237-252 (2002)

水田恭平神戸大学, 国際文化学部, 教授 (50093711)

[Publications] 廳茂: "G.ジンメルにおける<社会と美>(その3)"国際文化学研究. 17号. 1-70 (2002)

[Publications] 長野順子: "<倒立>した崇高とその怪物性"シェリング年報. 10号. 80-91 (2002)

[Publications] 長野順子: "The Subversive Sublime and Its Monstrosity Re-reading Mary Shelley's Frankenstein"Act of the XV the International Congress of Aesthetics. 15号(CDROM). (2002)

[Publications] 山田広昭: "カール・シュミットの決断主義"批評空間. 第III期3号. 223-237 (2002)

[Publications] 小田部胤久: "ゴシックと表現主義の邂逅-ヴォリンガーによる「ヨーロッパ中心主義的」芸術史の批判とその行方"美学芸術学紀要(東京大学文学部美学芸術学研究室). 20号(印刷中). (2002)

[Publications] 小田部胤久: "美学における歴史の呪縛"UP(東京大学出版会). 357号. 17-25 (2002)

[Publications] 小田部胤久: "Originalitaet und ihr Ursprung. Begriffsgeschichtliche Untersuchungen zur modernen Aesthetik"JTLA. 27号(印刷中). (2002)

[Publications] 山田広昭: "ヴァレリーと第四の身体、(『岩波講座文学』第11巻)"岩波書店(所収). 458 237-252 (2002)