2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410017
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水田 恭平 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (50093711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 広昭 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40210471)
長野 順子 神戸大学, 文学部, 教授 (20172546)
廳 茂 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10148489)
安西 信一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50232088)
小田部 胤久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (80211142)
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Keywords | 悲劇 / 危機 / 革命 / 法 / 表象 / 決断 / 美 / 総合性 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画として掲げた主なものは、1.フランス革命期の美的言説と政治的言説の相関性をイギリス、フランスの具体例に即して分析すること、2.19世紀ドイツにおける「社会」概念の独自性の探求、3.20世紀の社会的危機における言説、とりわけカール・シュミットの思想における美的思考の現代的意味を検討すること、であった。具体的には次の項目について研究の進展をみた。 1・前年度に引き続き、フランス革命期に政治的事件としての「革命」に関わる多くの言説を検討した。とりわけイギリスにおける「革命の観察者」の言説に、近代の保守思想の射程を研究することができた。 2.19世紀末からのドイツにおける社会思想の形成をその美的思考との関連で検討することは、初年度からの研究の主要な柱であるが、ゲオルク・ジンメル、マックス・ウェーバーの思想の比較において研究の進展をみた。合理的社会観との対比で、「美」という観念がどのように表出されているかをフランスにおける社会思想と比較し、その相違を確認することができた。 3.カール・シュミットの政治思想に代表される20世紀前半の危機の言説を、ヨーロッパ近代を脅かす「外部」との関連において検討することができた。国際法の成立とその危機、そしてそれへの対応として美的な観念の形成を把握し、21世紀の現在の世界秩序へのその思想の射程を計量することができた。 4.最終年度を迎え、現在報告書を作成中であるが、さらにそれを基本的な枠組みとする一般書物として公刊する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 水田 恭平: "悲割的思考と美的思者"シェリング年報. 12号. (2004)
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[Publications] 廳 茂: "<ジンメルとウェーバー>問題 -問題は成立するのか? (上)-"近代. 91号. 1-41 (2003)
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[Publications] 山田 広昭: "美学の効用 -括弧に入れることと括弧をはずすこと"国文学. 1月号. 79-84 (2004)
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[Publications] 小田部 胤久: "La genese de l'<< histoire de l'art >>. L'universel et le particulier dans les theories esthetiques de l'epoque des Lumieres au debut du romantisme"Horizons philosophiques. 13号no.2. 59-67 (2003)
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[Publications] 小田部 胤久: "'The Aesthetic' and 'the Scientific' or 'the Exoteric' and 'the Esoteric' : An Essay on the History of Modern Aesthetics"Selected Papers of the 15th International Congress of Aesthetics. 2003年号. 287-297 (2003)
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[Publications] 小田部 胤久: "Der Begriff der "Mitte" : Ein romantisches Paradoxon zwischen "neuer Mythologie" und "illusionarer Gotik""JTLA. 28号. (2003)
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[Publications] 小田部 胤久: "芸術について歴史的に語ること--ドイツ・ロマン主義をめぐって--"美学芸術学研究. 21号. (2003)
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[Publications] 小田部 胤久: "政治的汎神論の美学--ノヴァーリス『信仰と愛』をめぐって"美学. 216号. (2003)
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[Publications] 廳 茂: "美学主義と実証主義の<間>"マルジェ社(『文化と社会』所収)(未定). (2004)
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[Publications] 長野 順子: "『近代社会における美的なものとジェンダー--18世紀イギリスの場合』平成13〜14年度科学研究費「基盤研究(B)(2)」研究成果報告書"長野順子. 60 (2003)
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[Publications] 山田 広昭: "精神分析 -テクストの無意識はどこにある P.54-80"講談社(丹治愛編『批評理論』所収). 354 (2003)